研究課題/領域番号 |
22K16593
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
山北 俊介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10836092)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | モルヒネ / p38MAPK / ERK / オピオイド / オピオイド誘発性痛覚過敏 / サイトカイン |
研究開始時の研究の概要 |
オピオイドによる耐性と痛覚過敏には末梢μオピオイド受容体 (MOR)が関与するが、その詳細は不明である。我々はMAPKファミリーがニューロン-グリア細胞間のシグナル伝達を促進させ、神経感作を引き起こすことを報告しているが、オピオイド痛覚過敏への関与は知られていない。 本研究では、オピオイドが末梢MORを介しMAPKファミリーを活性化させ、後根神経節におけるニューロン-グリア情報伝達を促進し、神経炎症を引き越してオピオイド痛覚過敏を発症するという仮説を検証する。研究成果をもとに、新たなメカニズムに基づくオピオイド耐性・痛覚過敏治療の可能性を提案する。
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研究実績の概要 |
雄性SDラットを実験に用い、モルヒネ痛覚過敏モデルとして、全身麻酔下にモルヒネ20mg/kgを3日間腹腔内投与し、行動解析により痛覚過敏を観察し、モルヒネ痛覚過敏モデルを確立した。痛覚過敏が観察できた後、ラットDRGにおいてERKおよびp38MAPK活性化を観察した。ERKおよびp38MAPKの一次知覚神経における発現解析のため、第5腰髄神経のDRGを採取し、組織切片を作成、免疫組織化学法によりリン酸化ERKおよびp38MAPK陽性細胞を可視化した。ニューロン、グリア細胞の選択的マーカーとの二重染色により両者の細胞分布を同定し、ウェスタンブロッティングによりリン酸化ERKおよびp38MAPKの発現量を定量した。オピオイド受容体拮抗薬としてナロキソンを投与し、ERKおよびp38MAPK活性化に及ぼす影響を評価した。モルヒネ痛覚過敏モデルにおいて、有意にリン酸化ERKおよびp38MAPKの発現が増加し、ナロキソン投与によりこれらは抑制された。リン酸化ERKはニューロンとグリア細胞、p38MAPKはニューロンに発現することを確認した。 ERKおよびp38MAPK阻害剤、コネキシン・パネキシン阻害剤が痛覚閾値に与える影響を調査した。モルヒネ痛覚過敏モデルを作成するにあたり、モルヒネ投与前に以下の薬剤を投与し、痛覚閾値を測定した(ERKリン酸化を阻害する薬剤としてMEK阻害剤であるU0126、p38MAPK阻害剤としてFR167653、コネキシン・パネキシン阻害剤としてカルベノキソロン)。モルヒネ投与数日後には、機械刺激に対する逃避閾値の低下と、熱刺激に対する逃避潜時の短縮が認められ、投与薬剤の有効性が示唆された。同様に、モルヒネ投与前に抗炎症作用を有する薬剤としてステロイド系抗炎症薬であるデキサメタゾン、またTLR4阻害剤を投与して、痛覚閾値を測定し、投与薬剤の有効性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DRGにおけるグリア細胞由来の炎症活性物質を網羅的に解析するため、セルソーターでグリア細胞だけを分離し、その後サスペンションアレイシステムを用いた多項目同時測定システムBio-Plexを使用して、サイトカインアッセイを行う予定であったが実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
セルソーターでグリア細胞だけを分離し、その後サスペンションアレイシステ ムを用いた多項目同時測定システムBio-Plexを使用して、サイトカインアッセイを行う予定である。この実験によりグリア細胞由来のサイトカインを選択的・網羅的に定量・検出する。
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