研究課題/領域番号 |
22K16594
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
伊藤 諭子 北里大学, 医学部, 助教 (60623105)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / ADPリボシル化因子6(Arf6) / Arf6活性化制御因子(EFA6A) / 神経栄養因子受容体(TrkA) / 小胞輸送 / ADPリボシル化因子6(Arf6) / 代謝型グルタミン酸受容体(mGluR) / 神経成長因子受容体(TrkA) |
研究開始時の研究の概要 |
慢性疼痛の分子制御機構の解明は、臨床上の重要課題である。申請者は、小胞輸送を制御する低分子量Gタンパク質Arf6の活性制御因子サイトヘジン2が、脊髄後角ニューロンのmGluR5を介し疼痛感受性(中枢性感作)の制御経路であることを見出した(Neurobiol,Dis.,2021)。さらにArf6が神経成長因子(NGF)-TrkA受容体の小胞輸送を介して一次感覚ニューロンの末梢性疼痛感作に関与する可能性を見出している。これらの自己所見を基に、本研究では『Arf6小胞輸送経路を介した末梢神経から中枢神経における疼痛感作の制御機構』の統合的な解明を目指し、慢性疼痛の治療標的としての可能性を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、Arf6小胞輸送経路を介した末梢神経から中枢神経における疼痛感作の制御機構の解明であり、さらに慢性疼痛の治療標的としての可能性を検証するものである。これまでの先行研究において、慢性疼痛の分子機構の1つとして、傷害時に末梢組織から放出される神経栄養因子(NGF)とその受容体であるTrkAを介したTRPV1(Transient Receptor Potential V1)の発現量調節が知られており、さらに細胞内の小胞輸送を制御する低分子量GTPaseであるArf6とその活性化因子であるEFA6A(Exchange Factor for Arf6 A)が、NGF依存的なTrkAのリサイクリングに関与することが最近PC12細胞で明らかにされた。これらを踏まえ、本研究課題の1つとして、NGF刺激が引き金となり生じるEFA6A-Arf6経路によるTrkA受容体の小胞輸送経路とTRPV1が疼痛シグナル伝達制御機構にどのように関与しているかについて検討する。 2023年度は、主に末梢一次感覚ニューロンにおけるEFA6A-Arf6小胞輸送経路によるNGF疼痛シグナルの制御機構の解明に関わる研究に取り組み、EFA6A遺伝子欠損マウスを用いたNGF刺激による疼痛感受性の行動学的評価と、EFA6A-Arf6経路のTrkA小胞輸送への機能関与の検討を行うために後根神経節培養細胞を用いてNGF刺激後の細胞膜表面TRPV1発現量を解析した。その結果、疼痛制御機構の解明の一助となるデータを得ることができ、さらにEFA6A-Arf6経路のTrkA小胞輸送とNGF刺激後の細胞膜表面TRPV1発現量との関係性を示唆するデータも得られつつあることから、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、主に末梢一次感覚ニューロンにおけるEFA6A-Arf6小胞輸送経路によるNGF疼痛シグナルの制御機構の解明に関わる研究に取り組み、EFA6A遺伝子欠損マウスを用いたNGF刺激による疼痛感受性の行動学的評価と、後根神経節培養細胞を用いてNGF刺激後の細胞膜表面TRPV1発現量を解析した。 まず、NGFによって惹起される疼痛におけるEFA6A-Arf6経路の機能関与を個体レベルで検証するために、EFA6A遺伝子欠損マウスと野生型マウスの足底部にNGFを投与し、足底熱刺激痛覚評価装置(Hargreaves test)を用いて経時的な疼痛感受性の変化を比較検討した。野生型マウスではNGF足底投与後4、24、48時間において、熱回避時間が投与前の半分程度に減少し、疼痛閾値の低下が48時間まで持続していた。一方、EFA6A欠損マウスでは、NGF投与4、24時間後まで野生型マウスと同様に疼痛閾値の低下が認められたが、48時間後では、野生型マウスと比較して熱回避時間が1.5倍となり有意に増加していた。 次に野生型とEFA6A欠損マウスの後根神経節を用いて初代培養後根神経節細胞を作成し、TRPV1細胞膜表面発現量の解析を行った。野生型培養後根神経節細胞では、NGF刺激後48時間まで時間とともに細胞膜表面のTRPV1発現量が増加しているのに対して、EFA6A欠損培養後根神経節細胞では、NGF刺激後4時間で野生型と同様に細胞膜表面TRPV1の増加が認められたが、NGF刺激後24、48時間では増加は認められず、野生型と比較して細胞膜表面TRPV1が有意に減少していた。
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今後の研究の推進方策 |
今後脊髄神経節の培養細胞を継続してEFA6A-Arf6経路のTrkA小胞輸送とNGF刺激後の細胞膜表面TRPV1発現量の解析を進め、さらにTrkA受容体の下流タンパクの定量解析やNGF-TrkA経路と疼痛伝達機構において密接な関係にあるとされるNav1.8などの受容体の変化の解析なども考慮し、一次ニューロンにおける疼痛制御機構の検討を行う。 さらに末梢一次感覚ニューロンから脊髄後角二次ニューロンに至るArf6小胞輸送経路と疼痛感作の制御機構についての研究に着手し、Arf6阻害剤を用いた疼痛感受性の変化やArf6ノックダウンによる疼痛の軽減効果を調べ、治療薬としての可能性について検討する。
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