研究課題/領域番号 |
22K16607
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
山本 真記子 日本医科大学, 医学部, 講師 (50874468)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | セボフルラン / 腎虚血再灌流障害 / ラット / 腎虚血再灌流 / Sevoflurane / 急性腎機能障害 / creatinine clearance / 腎臓虚血再灌流障害 / 麻酔プレコンディショニング / micoRNA |
研究開始時の研究の概要 |
手術や大量出血などの様々な理由で臓器血流が著しく減少すると、細胞が低酸素状態に陥るが、その後血流が再開された時に虚血再灌流障害という更なる臓器障害がおこる。疾患が治癒しても臓器障害が残り、長期に渡る多大な医療コストを要する。 近年、特定の全身麻酔薬が重要臓器の細胞に対して保護的に作用する現象が報告されている。本研究は重症患者にも使用される全身麻酔薬sevofluraneが腎細胞の生存を促す経路を促進して虚血再灌流障害を緩和する作用を遺伝子レベルで解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、腎臓虚血再灌流障害を軽減するために、全身麻酔薬sevoflurane投与がmicroRNAレベルで細胞保護経路を活性化させる作用を解明し、その作用を高める条件をラット腎臓虚血性灌流モデルを用いて追究することである。 先行研究で、吸入麻酔薬sevofluraneが腎虚血再建流前に投与されることで特定のmicroRNA変化をもたらし、関連経路の下流に位置するAkt活性化を促し、虚血再灌流障害を軽減するという良好な結果を示した。 2022年度の実験では、片腎にしたラット腎臓虚血再灌流モデルに対して虚血再灌流の実施前に臨床的妥当な濃度の2.2%sevofluraneを30分間投与した群、2時間投与した群、sevoflurane投与なしの神虚血再灌流群、sham群の4群で、術後24時間のラット腎組織、血清、24時間尿を採取し、腎機能評価を比較した(n=7)。腎 虚血は連続して45分間行った。本実験系において、腎虚血再灌流群はsham群と比較して有意に再灌流24時間後血清creatinineが上昇し、creatinine clearanceが 低下した。しかし、直前にsevoflurane投与を行った群は短時間投与群と長時間投与群の両群において虚血再灌流後の再灌流24時間後血清creatinine上昇と creatinine clearanceの低下が有意に緩和され、sevofluraneは臨床的妥当量の2.2%で比較的短時間の投与でもinvivoで充分な腎保護効果を有した。先行研究より、sevofluraneの腎保護効果はアポトーシスとの関連が深いシグナル伝達物質との関わりが濃厚に推測された。できるだけ多くのシグナル伝達物質を先に推測するために、2023年度は候補パスウェイの絞り込みを行うためにパスウェイ解析ソフトの使用や文献検索を行い、totalRNAの抽出を行った。2024年度は腎組織中の細胞死・アポトーシスに関連するmicoRNAの網羅解析から関連物質の同定を目指すこととなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度にsevofluraneの持つ腎臓虚血再灌流軽減効果をまず関連する複数のシグナル伝達物質を同定するためにいくつかの候補mRNA発現量を計測する予定であったが、最も関連が深そうであると考えていたラット種でのアポトーシスとの関連が深いmRNAの販売が極端に少なく、カスタマイズでの注文に難渋した。効果的に候補を選定することができず、先に関連mRNAを検証することは断念した。 網羅的にmicroRNA解析を先に行うことになったが、microRNA候補は膨大であるため、現在絞り込みに向けてメーカーとの既製品試薬の種類の確認や、文献検索、パスウェイ予測解析ソフトの使用などを行っている、先に関連microRNAの同定を行なってから、その候補パスウェイをたどってmRNAの絞り込みを再度やり直す予定となった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度購入する予定であったWestern blotting実施や2023年度使用予定であったmRNAの発現解析は一旦保留となり、当該予算を2024年度に持ち越した。一部は研究室ですでに所持していた試薬を使用できtotal RNAの抽出は済んでいる。2024年度のmicroRNA発現解析を行い、候補となるmrRNAや標的シグナル伝達物質の絞り込みが行うことができたら、mRNA試薬、western blotting・蛍光免疫染色の試薬と一次抗体・二次抗体の購入を行い、申告通りの合計額を使用する予定である。
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