研究課題/領域番号 |
22K16609
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
竹川 大貴 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (80834803)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | オレキシン / 術後せん妄 / 術後認知機能障害 / ラット |
研究開始時の研究の概要 |
高齢化の進む現代社会において、医療技術の進歩から低侵襲手術が普及し手術適応が広がった結果、手術を受ける高齢者数は増加の一途にある。術後せん妄及び術後認知機能障害は高齢者に多い術後合併症であるため、その発症率も上昇している。 近年、これらの発症機序に脳内炎症が関与していることが明らかとなった。一方で、オレキシンが中枢性抗炎症効果を有すという報告が散見される。したがって、オレキシンはこれらの予防や治療に関与する可能性がある。 本研究は、臨床・基礎研究の両方のアプローチでオレキシン神経系が術後せん妄及び術後認知機能障害へ与える影響を調査し、これらの予防や治療法開発を目指す。
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研究実績の概要 |
【目的】我々は以前にLPS 腹腔内投与によるラット敗血症モデルの睡眠障害について検討し、成長に従いOX神経が欠落する遺伝子改変ラット(Orexin/Ataxin-3 transgenic rat:TG rat)及びWild type rat (WT rat)は覚醒時間が増加し、NREM、REM睡眠時間が減少すること、特にTG ratはWT ratに比べてREM 睡眠時間が多く減少することを報告した。今回はLPS投与に加えてOXを投与し、外因性OXの敗血症による睡眠障害への影響を検討した。【方法】体重300-400gの雄性WT rat (n=6)及びTG rat (n=6)を対象とし、睡眠を24時間記録した。その後、LPS(1mg/kg)の腹腔内投与及びOX(1nmol:覚醒を促す量)を脳室内投与し、睡眠を24時間記録した。意識状態を覚醒、NREM睡眠、REM睡眠に分類し、3時間毎に区切り、各ratのLPS及びOX投与前後の意識状態の量の差を2-way ANOVAで比較、 Bonferroni法で時間毎の多重比較をした。【結果】LPS及びOX投与後にWT ratは1-3、10-12、13-15、19-21時間で覚醒時間の増加、NREM睡眠時間の減少を認めた(図1)。TG ratは1-3時間で覚醒時間の増加、NREM睡眠時間の減少を認めた(図2)。REM睡眠に関しては投与前後で両ratとも有意差はなかった。 【結論】覚醒を促す量の外因性OX投与では両ratの敗血症による睡眠障害を完全には改善できなかったが、両ラットのREM睡眠時間減少を防いだ。
その他術後認知機能障害ラットモデルを用いた研究も現在おこなっている。 臨床研究に関しては術前・術後の血中オレキシン値と術後せん妄発症の関連について現在症例を蓄積中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験、臨床研究ともに倫理委員会の承認を得て研究を順調に行えている。
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今後の研究の推進方策 |
術後認知機能障害ラットモデルにオレキシンの投与を行い、認知機能の改善が図れるかを検討する。 臨床研究はこのまま症例を蓄積していく。
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