研究課題/領域番号 |
22K16611
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
熊倉 康友 山梨大学, 大学院総合研究部, 臨床助教 (00530130)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 血管内皮グリコカリックス / がん悪液質 / 体組成分析 / シンデカン1 / 悪液質 / グリコカリックス / ヘパラン硫酸 |
研究開始時の研究の概要 |
基礎実験で血管内皮細胞と悪液質誘発ヒト胃癌細胞株の共培養を行い、グリコカリックスの変化と培養液中の構成因子濃度からグリコカリックスの破壊が生じるか検討する。臨床研究としてがん悪液質患者のグリコカリックスのバイオマーカー(シンデカン1・ヘパラン硫酸)の血清濃度測定を行い、経時的変化の評価や体組成分析から得られた体水分量との相関、また生存期間を前向きに調査し、バイオマーカー血清濃度が予後予測因子となるか検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では基礎研究と臨床研究により、がん悪液質により血管内皮グリコカリックスの破壊が生じるかどうかを組織毛細血管の直接観察と共に血漿中バイオマーカーとしてグリコカリックス構成成分の一部であるシンデカン1・ヘパラン硫酸の変化によって検証することとした。 基礎研究では、がん悪液質細胞と血管内皮細胞の共培養を行うことを想定していたがまずin vitroで実際に血管内皮グリコカリックス破壊が起こるかどうかについてマウスモデルを用いて確認することとした。血管内皮グリコカリックスの走査型電子顕微鏡での観察技術を確立し、また東京慈恵医科大学との共同研究にてがん悪液質ヌードマウスモデルの作成が可能となった。実験計画としては、ヒト胃がん細胞85As2をBALB/c nu/nuマウスに皮下移植した群とコントロール群それぞれに経時的に血清中のシンデカン1の測定を行う。移植後8週にて還流固定し、脳・心臓・肝臓・腎臓の微小血管の血管内皮グリコカリックスの変化を走査型電子顕微鏡で観察することとした。 臨床研究では、がん悪液質患者における血漿中の血管内皮グリコカリックス構成分子探索と体組成分析を用いてグリコカリックス剥離と体液貯留との関連を検討している。研究計画は山梨大学医学部倫理委員会での承認を得たのちにUMIN-CTRに登録したうえで開始する。内容としてはpalliative prognostic indexを用いて予後長期群・短期群の2群に分け、それぞれで研究開始時・2週後の2点において血漿中のシンデカン1、ヘパラン硫酸の測定・体組成分析・QOL評価・せん妄評価を行い、変化について比較することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎研究では、当初予定していた細胞培養を用いた実験モデルから、がん悪液質ヌードマウスを用いたin vivo実験モデルへ変更することとなり、モデル確立のために予定よりも時間を要した。現在は順調に研究を継続している。2023年度内に実験の終了を予定している。 臨床研究では、倫理委員会での承認を得るために半年程度時間を要し、承認を得てから参加者の募集を開始している。しかしコロナウイルス感染症の流行に伴い、がん悪液質患者の入院の減少や、入院患者の緩和ケアチームへの依頼件数の減少が生じており、予定よりも参加者の確保が困難な現状である。今後コロナウイルス感染症の対応変更により対象患者の増加が期待できるとは考えているが、状況により対象患者の拡大も検討する。
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今後の研究の推進方策 |
基礎研究では、現在進行している動物実験からがん悪液質により血管内皮グリコカリックスが破壊されるという結果が得られた場合、その破壊のメカニズムについて検証を進めていくことを考えている。具体的には、現在得られている知見から、好中球やサイトカインの関与について動物実験やin vitroでの検証を進めていく予定である。 臨床研究については、研究終了を目指し参加者の確保を進めていく。エントリーが十分に得られない場合は、対象患者を外来患者に広げる、他施設の研究参加を求めるなどの方策を検討する。
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