研究課題/領域番号 |
22K16614
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
堀井 靖彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90882720)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 痛覚プライミング / EPAC / モルヒネ / 術後慢性痛 / オピオイド |
研究開始時の研究の概要 |
術後慢性痛は術後患者の10-40%に発症し、生活の質を著しく低下させる。術前からオピオイドを使用する患者では術後慢性痛の頻度が高いが、その神経メカニズムは不明である。痛覚プライミングは、組織炎症が消退した後も知覚神経の過剰応答が残存する現象で、痛覚プライミング状態下に侵害刺激が加わると、疼痛持続期間が著しく延長する。オピオイドは耐性や痛覚過敏を引き起こすだけでなく、痛覚プライミングを誘導すると言われている。本研究は、術前に投与されたオピオイドが痛覚プライミングを誘導し、術後痛を慢性化させる可能性を検証し、EPAC1/EPAC2をはじめとする分子メカニズムを解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
手術後の術後痛が3ヶ月以上持続する病態を術後慢性痛と呼ぶ。手術を受けた患者の10%近くにおいて、治療が必要な術後慢性痛が生じ、術後の生活の質に悪影響を及ぼし、莫大な経済コストが深刻な社会問題になっている。我々は医学的な介入を通じて術後慢性痛の軽減を目指している。しかし、術後慢性痛のメカニズムには不明な点が多く、かつ薬理学的な介入も不十分な状態にあり、まだまだ未解明のままである。また、そのメカニズムの解明とそれに伴う新たな治療法の確立が急務である。 我々は、これまでラット足底切開モデルで一次知覚神経におけるExchange protein directly activated by cAMP(EPAC)1/EPAC2の発現増加が術後の痛覚プライミング発症(術後痛の慢性化の因子の可能性)に関与していることを報告している。また同様にモルヒネを長期投与した動物モデルにおいても一次知覚神経の痛覚プライミングを誘発するという現象を確認している。本研究では、モルヒネ長期投与に伴う一次知覚神経のEPAC1/EPAC2の発現増加が痛覚プライミングを誘発すると仮定し、術後痛が慢性化するメカニズムを検証した。 ラットにモルヒネを7日間単回投与し、その後足底切開を加え、モルヒネ誘発性痛覚プライミングモデルを作成する。切開創周囲の知覚を支配する第4・第5腰髄後根神経節(DRG)を採取する。組織切片を作成し、免疫組織化学法によりEPAC1/EPAC2陽性ニューロンを可視化する。また、ウエスタンブロッティングによりEPAC1/EPAC2の発現量を定量する。その結果、ウエスタンブロッティングでEPAC2の発現の増加を認めた。 本研究の成果をもとに、引き続きEPAC1/EPAC2を介した術後慢性痛の発症機序の全容を解明し、その標的薬が術後慢性痛の新たな治療薬となる可能性について提案する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モルヒネ誘発性痛覚プライミングモデルラットを作成し、切開創周囲の知覚を支配する第4・第5DRGを採取した。組織切片を作成し、免疫組織化学法によりEPAC1/EPAC2陽性ニューロンの可視化を行なったが困難であったため時間がかかった。また、ウエスタンブロッティングによりEPAC1の発現量の定量も困難であったため、予想していたより時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
モルヒネ誘発性痛覚プライミングモデルラットにおいて、免疫組織化学法によるEPAC1/EPAC2陽性ニューロンの可視化を行なったが困難であったため、代替手法としてRNAスコープを用いてEPAC1/EPAC2陽性ニューロンの可視化を行う予定である。EPAC1の発現量の定量はreal-time PCR法を用いて行う予定である。 また、EPAC1/EPAC2阻害剤をモルヒネ誘発性痛覚プライミングモデルラットに投与し、モルヒネ誘発性痛覚プライミング発症の有無を行動解析にて検証する。
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