研究課題/領域番号 |
22K16623
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
手塚 宜行 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任教授 (90868209)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 血管内皮障害 / グリコカリックス / 敗血症 / 熱傷 / 抗菌薬 / 薬物血中濃度 |
研究開始時の研究の概要 |
血管内皮障害を伴う敗血症や重症熱傷では,血管内皮グリコカリックスの剥離に伴い,血管透過性が亢進し,治療の鍵となる抗菌薬を血液中に維持することが困難となり,標的の臓器へ十分な量の抗菌薬が到達できないことが,これらの疾患での高い死亡率に関連していると仮定される. 本研究では敗血症性血管炎と重症熱傷のマウスモデルを用いて,血管内皮障害と経静脈的に投与した抗菌薬の血中濃度を測定,さらに血管内皮グリコカリックスのノックアウトマウスを用いることで,グリコカリックスの障害が直接的に抗菌薬の血中濃度に影響しているかどうかを明らかにする.
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研究実績の概要 |
血管内皮グリコカリックスは血管の恒常性維持に重要な役割を果たしており、血管内皮障害に伴う血管透過性の亢進に関与することから注目を集めている。敗血症や重症熱傷での血管内皮障害メカニズムについての研究が散見され始めてはいるものの、血管内皮障害と抗菌薬の薬物動態に着目した報告はない。本研究では敗血症性血管炎と重症熱傷の血管内皮グリコカリックスへの影響を明らかにするとともに、血管内皮障害を来した場合の抗菌薬の薬物動態について、動物モデルを用いて検討する。 2022年度では、リポポリサッカライドを投与した敗血症性血管炎モデルマウスと、重症熱傷モデルマウスではいずれもシンデカン-1が上昇していることから、いずれのモデルマウスでも血管内皮障害を生じていることが確認できた。 2023年度では、重症熱傷モデルマウスでの薬物血中濃度の測定を行った。マウスではヒトより薬物代謝速度が速く、メロペネム投与6時間後の血液検体では薬物血中濃度が測定感度未満になってしまうことが確認されたため、薬物血中濃度の適切な投与後評価時間の検討を行った。その結果、投与15分後の薬物血中濃度で評価することとした。熱傷受傷による薬物血中濃度の違いを確認するため、炎症の活動性の高い受傷6時間後にメロペネムを投与し、その15分後に血液検体を採取した。熱傷受傷群(5匹)とコントロール群(5匹)において、メロペネムの血中濃度の平均値は5.75μg/mLと7.67μg/mLであり、熱傷受傷群において統計学的有意にメロペネムの血中濃度が低いことを確認できた。現在、同検体でのシンデカン-1の測定を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスではヒトより薬物代謝速度が速く、メロペネム投与6時間後の血液検体では薬物血中濃度が測定感度未満になってしまうことが確認されたため、薬物血中濃度の適切な投与後評価時間の検討を行った。この検討に時間を要した為、本研究課題の進捗状況がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
メロペネム投与後の薬物血中濃度測定の時期の検討が十分行えたため、今年度に得られた結果をもとに、敗血症モデルマウスと重症熱傷モデルマウスにおけるメロペネムの血中濃度と血管内皮障害の指標としてシンデカン-1の血中濃度の違いを明らかにしていく。また血管内皮特異的にグリコカリックスの構成成分を選択的にノックアウトしたマウスでの血管内皮グリコカリックスの同定と、メロペネムとシンデカン-1の血中濃度の測定と、その関連性の評価を行っていく予定である。
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