研究課題/領域番号 |
22K16632
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
多村 知剛 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00571720)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 心停止 / 蘇生 / 脳障害 / NKT細胞 / 免疫調整療法 / 心停止蘇生 |
研究開始時の研究の概要 |
心停止後蘇生後には虚血再灌流傷害に起因する全身性炎症反応が惹起される。非感染性炎症の制御には免疫機構が深く関与し、単一臓器の虚血灌流障害モデルにおいては自然免疫細胞のナチュラルキラーT(NKT)細胞が重要な役割を果たすことが報告されている。本研究ではマウス心停止モデルを用いて心停止蘇生後の脳機能障害におけるNKT細胞の役割を明らかにし、さらに院外心停止蘇生後患者で臨床的相関を確認することで心停止蘇生後脳障害に対する新規免疫調整療法の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
Sulfatide反応性NKT(dNKT)細胞は心停止蘇生後に脳へ遊走した。心停止後に脳に遊走したdNKT細胞は、TGF-b1やIL-10を高頻度に発現し、脳の炎症性サイトカインとケモカインを低下させることで炎症性マクロファージと好中球の脳への遊走を抑制した。Sulfatideの投与はマウスの心停止後の転帰を改善した。院外心停止蘇生後患者においては、神経学的転帰不良の患者で蘇生後超急性期に、末梢血中のT細胞の割合が顕著に低下していた。一方、神経学的転帰が良好であった患者では、蘇生後超急性期に末梢血中のdNKT細胞が増加していた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
心停止蘇生後患者は、全身性の虚血再灌流傷害に起因した多臓器障害が起こるが、特異的治療法がなく、生命予後が極めて不良である。体温管理療法は大掛かりな装置や高度な医療技術が必要であるため、限られた施設でのみ実施が可能である。また効果を発する目標体温に到達するまでに時間を要するため、有効な治療時間枠を逃している可能性がある。一方、自然免疫の賦活は蘇生後集中治療に干渉することなく速やかに実施できるという点で、蘇生後脳障害の予防および治療法として適している。従って心停止蘇生後の自然免疫を特異的に制御することができれば、心停止蘇生後の多臓器障害に対する新規治療クラスとなり広く普及する可能性がある。
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