研究課題/領域番号 |
22K16635
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
土田 拓見 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (50838654)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 敗血症 / モデルマウス / サイトカイン / PICS / 凝固線溶障害 / 自然免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
世界の5人に1人は敗血症により死亡している。しかし、敗血症治療薬は最近数十年間で大きな進歩がない。その原因は敗血症のメカニズムが十分に解明されていないことにある。数多の研究者が挑戦してもなお未解明であるという事実は、既存の手法では目的に到達できないことを示唆している。本研究では、研究代表者が作成した個体差の少ない優れた敗血症モデルの検体を、免疫学的先端技術であるCyTOFとLUMINEXにより解析する。この手法により従来とは異次元の精度で免疫応答の網羅的な解析が可能となる。本研究は敗血症治療薬の標的を特定し、治療薬開発の礎となる報告を世界に発信することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
申請者が開発した個体差の少ない優れた新規敗血症モデル(FSIモデル)の作成プロトコールは、2022年に論文掲載された(Frontiers in Medicine 2022)。このFSIモデルの妥当性を証明のために得られた結果は、すでに敗血症免疫研究の領域において注目されている(Proc Natl Acad Sci USA. 2023)。申請者はFSIモデルより得られた検体を免疫学的先端技術であるCyTOFとLUMINEXにより解析中である。さらには敗血症免疫反応だけでなく、凝固線溶障害や、亜急性期以降に生じる免疫機能不全あるいは免疫応答に伴う炎症反応の長期化、タンパク異化亢進と栄養障害など複数の病態が関与する症候群(PICS)に関してもデータを収集が完了した。凝固線溶障害については、既存のヒト検体を用いて敗血症におけるアンチトロンビン活性値、および補充療法の開始根拠についての研究結果を昨年度内に報告した(Thrombosis Journal 2022)。PICSにおける免疫応答については、敗血症罹患後マウスにおける慢性炎症状態が病理組織学的に明らかとなり、LUMINEXによる解析では、PICSマウスが免疫抑制状態に陥っている可能性が示唆された。これらのPICS病態における結果については現在論文作成中であり、年度内の学術雑誌掲載を目指している状況である。また、敗血症研究の可能性を広げるために、申請者は検体をより多く採取可能なラットFSIモデルの作成プロトコールを確立させており、ラットFSIモデルを用いた敗血症基礎研究の結果も報告していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請内容の中心となる、申請者が作成した新規敗血症モデルマウス(FSIモデル)の作成プロトコールは、本研究課題の申請後に正式に論文掲載され、その結果は敗血症免疫研究の領域において早くも注目されている。申請者も敗血症モデルを用いて、①敗血症に対する新規薬剤の有効性の検証、②凝固線溶障害の機序解明に向けた分子マーカー測定、③亜急性期以降に生じる免疫機能不全あるいは免疫応答に伴う炎症反応の長期化、タンパク異化亢進と栄養障害など複数の病態が関与する症候群(PICS)モデルマウス作成およびその免疫学的解析を行っており、いずれも新知見に結び付くことが予想されるデータが集まりつつある状態である。今後はこれらのデータを整理、解析して学会発表および学術雑誌への掲載を目指す予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進の軸としては、①CyTOFとLUMINEXによる敗血症およびPICS病態における免疫反応の解析、②敗血症における凝固線溶障害の機序解明および治療薬候補の探索、が挙げられる。敗血症研究を進めるにあたっては、検体量を多く採取できるラットの使用も必要である可能性があり、ラットFSIモデルの作成についても推し進める必要がある。今後はこれらの研究を推進していった結果得られた新知見を順次学会発表および論文掲載していく予定である。
|