研究課題/領域番号 |
22K16642
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
関口 浩至 琉球大学, 医学部, 准教授 (30842215)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 努力呼吸の定量化 / 筋生理学 / 呼吸生理学 / 人工呼吸器からのウィニング |
研究開始時の研究の概要 |
人工呼吸器からの離脱を試みている患者の胸鎖乳突筋や僧帽筋などのいわゆる呼吸補助筋の収縮が出現したり、その収縮活動が増大することは、人工呼吸器離脱に失敗する兆候の一つだと考えられているが、その評価法は視診など主観的で科学的評価法とはいえない。本研究では呼吸補助筋の活動を表面筋電図を用いて定量的に測定し、頻呼吸などの努力性呼吸時に呼吸補助筋の速筋線維など比較的大きな運動単位が動員される現象(筋電図の嫌気性代謝閾値)を捉え、人工呼吸器離脱の予測指標として確立している速浅呼吸指数と比較検討することで呼吸補助筋を評価する意義や有用性を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、①臨床で人工呼吸器からの離脱(以下ウィニング)を試みている患者の呼吸補助筋活動を表面筋電図のRMS解析を用いて定量的に評価すること、②ウィニング中に出現した頻呼吸に伴う努力性呼吸に対して表面筋電図のRMS値が急激に増加するポイント(EMG-AT)を捉えること、③ウィニングの成否を予測する指標として汎用されている速浅呼吸指数と呼吸補助筋のEMG-ATとの相関関係を検証すること、④ウィニングの成否を予測する呼吸補助筋として胸鎖乳突筋と僧帽筋の活動を比較検討することである。 上記の目的を達成するための、令和4年度の実績の一つ目は、本研究をすすめる上で必要不可欠なワイヤレス式電極の表面筋電図装置(デルシス EMG システム トリグノ 米国)を、科研費を用いて獲得し、研究責任者が計測方法を習得できたこと、自験例ではあるが幾つかの骨格筋を用いて予備測定の実験に成功したことである。 成果の二つ目としては本研究を臨床で実際に実施可能とするためには臨床研究倫理審査委員会の承認が必要であり、当該機器の獲得と計測方法の習得に並行して、その準備を進め、承認を得たことである。特に本研究では、1.ワイヤレス式電極の装着が侵襲や介入に当たらないのか、2.データ取得時、鎮静剤の影響等で研究参加の意思が十分に確認できない可能性のある被験者に対して、本人や家族(代諾者)に説明と同意を得るタイミングや研究参加を拒否する機会の設定など幾つかの検討事項があったが、令和5年4月20日付けで承認(許可番号:23-2091-00-00-00)を得られたことは具体的に研究を開始するための重要な成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
先ず、ワイヤレス電極式の表面筋電図装置を獲得するための研究費が6月21日に交付決定され、7月1日に機器を発注した。しかしながらその時点で当該機器の国内在庫がなく、製造元の米国からの取り寄せとなり、コロナ禍の影響で物資の流通に滞りが生じる状況であったため、実際に琉球大学に当該機器が到着したのは令和4年11月1日となった。12月17日には東京から当該機器の計測技術員が琉球大学を訪れ、計測方法の説明を研究責任者が受け、その際に自験例で上腕二頭筋を用いて予備測定を実施し、収縮回数増加に伴う活動電位の変化を観察・データ取得することができた。その後、12月26日と27日には共同研究病院の集中治療室看護師を琉球大学に招いて当該機器の説明と、研究責任者が被験者となり上腕二頭筋と腓腹筋をもちいて予備測定を行い研究環境の準備をすすめた。また、令和5年1月10日には自験例で胸鎖乳突筋からのデータ取得の予備測定を行い、本研究をスタートさせるための計測技術の練度向上に努めた。 実験機器や計測技術の準備と並行して、本研究を臨床で実施可能とするために研究倫理審査委員会の承認獲得を進め、令和5年4月20日付けで承認(許可番号:23-2091-00-00-00)を得た。しかしながら、特に本人や家族(代諾者)に説明と同意を得るタイミングや研究参加を拒否する機会の設定に関する審議で時間を要し、研究倫理審査承認が遅れてしまったこと、また、代諾者である家族等の集中治療室等への出入りが限定的ではあるものの比較的解除されるのが5月8日(新型コロナウィルスの5類相当変更)以降ということから研究のスタート時期が大幅に遅れる事態となってしまった。そのため令和4年度の研究目標であった胸鎖乳突筋の活動と速浅呼吸指数との相関関係の分析までは進捗が至っておらず、研究計画の実施は遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年5月8日以降は、研究対象施設である琉球大学病院救急部HCUもしくは社会医療法人友愛会友愛医療センターICU・HCUにおいて、データ取得がスタートできるように、令和5年5月1日現在、各施設のスタッフと研究開始に向けた打ち合わせを進めているところである。 令和5年度には、さらに1個のワイヤレス式電極を追加して、胸鎖乳突筋と僧帽筋の活動電位の比較検討を行う計画であるが、先ずは胸鎖乳突筋の活動電位のデータ取得を確実にすすめ、今後、電極を追加して行う計測が問題なく遂行できるように図りたい。 本研究のタイムスケジュールの遅れを取り戻し、令和5年度中に計画している胸鎖乳突筋と僧帽筋の活動電位の比較まで到達できるように可能な限り、一カ月当たりのデータ取得数を予定の2例から、3例もしくは4例まで増加させることはできないか検討を行う計画である。その実現のために琉球大学病院でのデータ取得をHCUのみでなくICUにおいても対象となる被験者がいる場合はデータ取得ができるように、今後、研究計画書の修正も視野に入れて関係部署と相談しながら研究を促進していく方策である。
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