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中枢神経悪性胚細胞腫に対する標的治療に向けた、ゲノム構造異常・変異の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K16650
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分56010:脳神経外科学関連
研究機関東京大学

研究代表者

高見 浩数  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50548625)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
キーワード胚細胞腫 / 中枢神経 / ゲノム構造異常 / ロングリードシークエンス / 腫瘍マーカー / メチル化解析 / RNAシークエンス / 発現解析 / コピー数異常
研究開始時の研究の概要

中枢神経胚細胞腫(CNSGCT)は小児・AYA世代に好発し、我が国において2番目に頻度の高い小児悪性脳腫瘍であるが、その発生機序は未解明である。ジャーミノーマでは半数以上の症例で遺伝子変異が見つかった一方で予後が悪い非ジャーミノーマ症例においては変異が乏しいことが判明した。標的治療につながる特定のゲノム異常が同定できていない。
頭蓋内胚細胞腫ゲノム解析コンソーシアムに存在する豊富で貴重な凍結検体・臨床データベースを用い、世界に先駆けて治療ターゲットの探索・同定と、その先にある標的治療に運ぶことがこの研究の主眼である。

研究実績の概要

31症例の中枢神経胚細胞腫について構造異常の解明のためにNanoporeシークエンサーを用いたロングリードシークエンスを行った。シークエンスクオリティは良好であり、解析を行っている。
これまでにエキソームシークエンスによって遺伝子変異と欠失の特定されているUSP28遺伝子において、プロモーター領域とエキソン1,2を含む欠失を発見した。他にPRKN遺伝子やSMARCA4遺伝子、PTPRT遺伝子に構造異常を認めた。それぞれ1症例ずつであり、複数の症例にわたるrecurrentな構造異常は見られなかった。今後、これらの構造異常解析がどの程度の頻度で見られるのか、また病的意義があるのか、について多数症例で検証する予定である。
また、ロングリードシークエンスによってアレルごとのメチル化を解析している。具体的にはインプリンティング遺伝子のメチル化の状態を調べることによって腫瘍発生の生物学的な解明につながると考えている。
同時に、繰り返し配列の変化についても解析している。繰り返し配列の変化が腫瘍発生に寄与するという報告が他疾患で見られており、胚細胞腫での検証を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していたロングリードシークエンスは31症例において完了し、データの取得も成功している。現在はこのデータにおいて、
①構造異常の解析 ②アレルごとのメチル化解析 ③繰り返し配列の解析
をメインに行っている。解析結果が出てきている段階であり、おおむね順調と判断している。これらの解析により、
①中枢神経胚細胞腫の原因となるゲノム異常の解明 ②中枢神経胚細胞腫の発生に関わる病態の解明
につながると考えている。これからも解析を続ける予定である。

今後の研究の推進方策

中枢神経胚細胞腫のロングリードシークエンスによる
①構造異常の解析 ②アレルごとのメチル化の状態の解析 ③繰り返し配列の解析
により、これまで遺伝子変異だけでは説明がついてこなかった中枢神経胚細胞腫の原因を同定することを目標にしている。同時に中枢神経胚細胞腫は始原生殖細胞が起源細胞とされており、ヒトの発生段階の細胞に酷似する生物学的特徴を持っていると考えられている。アレルごとのメチル化状態を解明することで、特にヒト発生の段階でインプリンティング遺伝子のメチル化が大きく変化することを利用し、中枢神経胚細胞腫の発生のメカニズムの検証につなげることを目標にしている。今後も研究を続ける予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Distinct patterns of copy number alterations may predict poor outcome in central nervous system germ cell tumors2023

    • 著者名/発表者名
      Takami Hirokazu、Satomi Kaishi、Fukuoka Kohei、et al.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 号: 1 ページ: 15760-15760

    • DOI

      10.1038/s41598-023-42842-3

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Impact of tumor markers on diagnosis, treatment and prognosis in CNS germ cell tumors: correlations with clinical practice and histopathology2023

    • 著者名/発表者名
      Takami Hirokazu、Graffeo Christopher S.、Perry Avital、Giannini Caterina、Nakazato Yoichi、Saito Nobuhito、Matsutani Masao、Nishikawa Ryo、Daniels David J.、Ichimura Koichi
    • 雑誌名

      Brain Tumor Pathology

      巻: 40 号: 2 ページ: 124-132

    • DOI

      10.1007/s10014-023-00460-x

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Biomarkers for risk-based treatment modifications for CNS germ cell tumors: Updates on biological underpinnings, clinical trials, and future directions2022

    • 著者名/発表者名
      Takami Hirokazu、Ichimura Koichi
    • 雑誌名

      Frontiers in Oncology

      巻: 12

    • DOI

      10.3389/fonc.2022.982608

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 中枢神経胚細胞腫におけるコピー数異常と予後との相関2023

    • 著者名/発表者名
      高見浩数
    • 学会等名
      脳腫瘍病理学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Pathogenesis of central nervous system germ cell tumors elucidated by transcriptome and methylome analyses2023

    • 著者名/発表者名
      Hirokazu Takami
    • 学会等名
      International Conference on Brain Tumor Research and Therapy
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 中枢神経胚細胞腫のomics解析による起源細胞の同定と病態の解明2022

    • 著者名/発表者名
      高見浩数
    • 学会等名
      脳神経外科学術総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 中枢神経胚細胞腫における腫瘍マーカーの役割と限界2022

    • 著者名/発表者名
      高見浩数
    • 学会等名
      脳腫瘍病理学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 胚細胞腫の診断・治療における課題2022

    • 著者名/発表者名
      高見浩数
    • 学会等名
      脳神経外科コングレス
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 初発の頭蓋内原発胚細胞腫に対する多施設共同 前向き臨床試験の長期フォローアップ研究2022

    • 著者名/発表者名
      高見浩数
    • 学会等名
      脳腫瘍学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 遺伝統計学の新潮流 ─新規創薬・個別化医療への挑戦2024

    • 著者名/発表者名
      高見浩数
    • 総ページ数
      240
    • 出版者
      医歯薬出版株式会社
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 脳腫瘍に対する標準治療と薬物療法2023

    • 著者名/発表者名
      高見浩数
    • 出版者
      自然科学社
    • ISBN
      9784909260697
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 臨床脳腫瘍学─最新の診断・治療と病態─2023

    • 著者名/発表者名
      高見浩数
    • 総ページ数
      705
    • 出版者
      日本臨床社
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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