研究課題/領域番号 |
22K16661
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
杉本 至健 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30786075)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | Spreading depolarization / Spreading depression / CSD / Autoregulation |
研究開始時の研究の概要 |
片頭痛の原因とされる拡延性脱分極(CSD: Cortical Spreading depolarization)は、脳損傷時にも出現し組織障害の増悪を引き起こすと報告されてきた。一方で、正常脳で誘発されたCSDは組織障害を来さないこと、また脳損傷におけるCSDの神経細胞保護作用も示唆されており、CSDが神経細胞や血液脳関門において保護的に働くか、あるいは傷害的に働くのか、については結論が出ていない。今回、脳血管自動調節能の状態とCSD発生時の血流反応の関係に着目した。すなわち、脳血管自動調節能障害の程度の差によりCSDが脳に及ぼす影響が異なるかどうかを検討する。
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研究実績の概要 |
片頭痛の原因とされる拡延性脱分極(CSD: Cortical Spreading depolarization)は、脳損傷時にも出現し組織障害の増悪を引き起こすと報告されてきた。一方で、正常脳で誘発されたCSDは組織障害を来さないこと、また脳損傷におけるCSDの神経細胞保護作用も示唆されており、CSDが神経細胞や血液脳関門において保護的に働くか、あるいは傷害的に働くのか、なにも来さないのかについては結論が出ていない。我々は以前の研究でOptogeneticsで非侵襲的に誘発したCSDは脳虚血を増悪させなかったことを報告した(若手研究20K17970、Stroke. 2023;54:1110-1119. DOI: 10.1161/STROKEAHA.122.041351)。また、CSDが脳出血の拡大を抑制することを報告した(若手研究20K17970、Stroke. 2023;54:1110-1119. DOI: 10.1161/STROKEAHA.123.042632)。CSDが、特定の状況においては保護的に働き、別の状況では組織傷害的に働く可能性がある。今回、脳血管自動調節能の状態とCSD発生時の血流反応の関係に着目した。すなわち、マウスにおいてくも膜下出血を作成し脳血管自動調節能を測定したうえでCSDを誘発することにより、脳血管自動調節能障害の程度の差によりCSDが脳に及ぼす影響が異なるかどうかを検討することとしている。我々は以前にくも膜下出血後の患者で脳血管自動調節能の持続モニタリングとCSDモニタリングを併用した例を報告したが(Journal of Stroke and Cerebrovascular DiseasesVolume 25, Issue 10, October 2016, Pages e171-e177)、症例集積を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前回の若手研究課題でCSDが脳虚血において保護的に働くか傷害的に働くかを明らかにするために、極めて非侵襲的なCSD誘発手法であるOptogenetic spreading depolarizationが脳虚血に及ぼす影響を検討したがCOVID流行による臨床業務負担増により進捗に遅延が生じ延長を要した。本結果は英文誌に報告した。Optogeneticsで非侵襲的に誘発したCSDは脳虚血を増悪させなかった。CSDが、特定のある状況においては保護的に働き、別の状況では組織傷害的に働く可能性があり、血管自動調節能の程度の差による影響を検討する実験に取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
臨床において、くも膜下出血の患者で脳血管自動調節能の持続モニタリングとCSDの持続モニタリングを併用で行った。同様に動物でくも膜下出血を作成し、脳血管自動調節能を測定したうえでCSDを誘発することにより、脳血管自動調節能障害の程度の差によりCSDが脳に及ぼす影響が異なるかどうかを検討する。臨床データと純粋な動物モデルでの差異も検討可能と考えている。
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