研究課題/領域番号 |
22K16673
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大西 俊平 広島大学, 病院(医), 医科診療医 (20906854)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 膠芽腫 / 中枢神経系原発悪性リンパ腫 / グリオーマ / 小分子RNA / MRI / 核酸医薬 / バイオマーカー / RNA |
研究開始時の研究の概要 |
脳腫瘍には様々な種類が存在するが、特に膠芽腫はきわめて予後不良な疾患であり、有効な血中バイオマーカーや標的治療がないため、新規診断法や治療法の開発が急務となっている。本研究では、脳腫瘍組織および血液サンプルからsmall RNAを解析し、腫瘍由来のバイオマーカーを確立し、新たな創薬標的の探索を目的とする。 また、膠芽腫モデルマウスを作製し、バイオマーカー開発や、核酸医薬とそのコンパニオン診断の開発へ向けた研究へとつなげていくことを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究ではまず、MRIやCTでの画像検査で鑑別に難渋する悪性脳腫瘍(膠芽腫(Glioblastoma; GBM)・中枢神経系原発悪性リンパ腫(Primary central nervous system lymphoma; PCNSL))の血中バイオマーカーを開発することに着目した。GBM患者・PCNSL患者・非担がん者の血液サンプルから小分子RNAを回収し、ライブラリを作成し、次世代シーケンサーを用いて解析を行った。これらの疾患に鑑別に有効な血中小分子RNAを見出し、小分子RNA(マイクロRNA、tRNAフラグメント、 lncRNAフラグメント)を用いて疾患予測モデルを作成した。さらに機械学習の手法を用い、診断に寄与する因子についてさらに解析を行っている。 さらに、患者の血液サンプルを経時的に解析し、MRI等の画像検査を合わせて経時的に解析する過程で、PCNSLの早期再発のバイオマーカーとして、治療後にMRIの拡散強調像において高信号が残存していることを明らかにし、その成果はJournal of Neuro-Oncologyに掲載された。 血液検体に加え、腫瘍組織の解析を行い、その過程で放射線治療後に発生する腫瘍(放射線誘発脳腫瘍)の特異性にも着目し、放射線誘発グリオーマ、髄膜腫、サルコーマ(肉腫)に関する解析をおこない、その特徴を明らかにした。特にサルコーマの解析に関する成果は、Japanease Journal of Clinical Oncologyに掲載された。 また、脳腫瘍の遺伝子解析をおこなう過程で、臨床で得られた画像データと照らし合わせて解析し、分子学的特徴とそれらを反映するイメージングバイオマーカーの明らかにし、グリオーマのうちIDH変異型星細胞腫に予後不良な分子学的特徴を有する腫瘍の特徴に明らかにし、現在論文投稿中の状態となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
悪性脳腫瘍(膠芽腫(Glioblastoma; GBM)・中枢神経系原発悪性リンパ腫(Primary central nervous system lymphoma; PCNSL))の血中バイオマーカーの有効性を検証するため、機械学習などの手法を取り入れて検証しているため、時間を要している。バイオマーカーの有効性をより高めるために、さらに分子遺伝学的解析をすすめ、病理学的情報・画像情報・臨床情報との関連を統合的に解析をすすめていくことで、疾患の特徴やバイオマーカーの有効性を検証していくこととしている。 また、膠芽腫マウスモデルの作製をすすめているが、これまでに使用したヒト膠芽腫由来細胞株は生着率が低いため、今後さらに異なる細胞株等を使用し、マウスモデルを樹立して、研究を進めることが必要となっているため、時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
悪性脳腫瘍患者の血液および腫瘍検体を用いて、分子遺伝学的解析をすすめるとともに、病理学的情報・画像情報・臨床情報との関連の解析を進めて行くことで、研究を推進していく方針としている。 これまでの研究において腫瘍の遺伝子解析を行う過程で得られた情報と、画像データや臨床データと合わせて解析し、分子学的特徴とそれらを反映するイメージングバイオマーカーに関する知見も蓄積している。特にグリオーマのうちIDH変異型星細胞腫に予後不良な分子学的特徴を有する腫瘍の特徴に明らかにし、現在論文投稿中である。さらに、IDH変異型グリオーマにおける分子学的特徴と、先進的な画像解析として合成MRI用い、その特徴に関する特徴をさらに解析していく方針としている。 また、放射線誘発サルコーマ(肉腫)について今年度報告を行ったが、放射線誘発グリオーマ、髄膜腫、サルコーマ(肉腫)を統合的に解析した結果を次年度報告する方針としている。 このように、引き続き、遺伝子解析結果と病理学的情報・画像情報・臨床情報などを統合して解析し、研究を推進していく。 核酸医薬の開発にむけて、難渋している膠芽腫マウスモデルの作製に関しては、今後さらに異なる細胞株等を使用し、膠芽腫マウスモデルを樹立して、核酸薬を使用した実験へ繋げていけるよう継続して実験を行っていく。
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