研究課題/領域番号 |
22K16681
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
山田 哲也 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60816114)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 膠芽腫 / メマンチン / 新規薬物療法 |
研究開始時の研究の概要 |
膠芽腫は、最も予後不良な悪性腫瘍の1つである。化学療法剤として使用するテモゾロミドに関しても、MGMT遺伝子による薬剤耐性が問題となっており、MGMT陽性膠芽腫に対する有効性の高い治療法の開発が急務である。しかし、血液脳関門と膠芽腫の不均一性が治療標的の確立を阻み、テモゾロミドに代わる化学療法剤の開発は遅れている。当研究室では、ドラッグリポジショニングの視点から、メマンチンが、in vitroでMGMT陽性膠芽腫に対するテモゾロミドの抗腫瘍効果を増強することを見出した。これは新規併用薬物療法として臨床応用に直結するものであり、機序の解明およびin vivoでの有効性の評価を進めている。
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研究成果の概要 |
MGMT陽性膠芽腫細胞株であるT98G細胞において、NMDA型グルタミン酸シグナル伝達経路がMGMTの転写に与える影響について検討した。N-メチル-D-アスパラギン酸によるNMDA型グルタミン酸受容体の活性化により、T98G細胞のMGMTの発現は上昇し、これはshRNAによるMGMTのノックダウンにより抑制された。NMDA型グルタミン酸受容体の阻害作用を有するメMEMを投与すると、MGMT発現が抑制され、TMZによる細胞傷害作用が増強された。 現在はGL261膠芽腫細胞株(MGMT陽性)とC57BL/6マウスを使用した同種同所性マウスモデルを使用し、TMZとMEMの併用効果を検討している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膠芽腫は、本邦の原発性脳腫瘍の11%を占め、最も急速に進行し、予後不良な脳腫瘍の一つである。外科的切除、放射線治療およびテモゾロミド(TMZ)による化学療法が標準治療であるが、未だ膠芽腫患者の予後は不良であり、5年生存率は10%未満とされている。標準治療の中心を担うアルキル化剤であるTMZに関しても、MGMTをはじめとする腫瘍のDNA修復酵素による薬剤耐性が問題となっている。 既承認薬であるメマンチンがMGMTの発現を抑制し、TMZの抗腫瘍効果を増強することを見出したことは、MGMT陽性膠芽腫に対し有効性の高い新規薬物療法の開発につながる可能性がある。
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