研究課題/領域番号 |
22K16692
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
山下 真治 宮崎大学, 医学部, 助教 (40468046)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 血管擬態 / オルガノイドモデル / tube formation assay / スタチン / Vascular mimicry / Glioblastoma / Bevacizumab |
研究開始時の研究の概要 |
悪性の原発性脳腫瘍である神経膠腫に対し、血管新生阻害剤の有効性が報告されているが、抵抗性の獲得が問題となり、十分な治療効果を得られていない現状がある。近年、腫瘍由来の血管内皮細胞(血管擬態: Vasculogenic mimicry (VM))が治療抵抗性に関与する事が報告され、抵抗性克服に関する重要なターゲットと認識されているが、機序解明が進んでおらず、未だ抵抗性克服には至っていない。 本研究は、微小環境を反映するグリオーマオルガノイドモデルを用い、細胞の不均一性を加味したシングルセル解析を行う事で、VMの機序を解明する事を目的とする。
|
研究実績の概要 |
本研究は膠芽腫等の悪性脳腫瘍で認められる、血管新生阻害剤の耐性に寄与する血管擬態(VM ; vasculogenic mimicry)の形成機序を解明することをその目的とする。実験手法として、膠芽腫の組織検体より採取した細胞を用いオルガノイドモデルを樹立し、同腫瘍塊内に存在するVMの形成に重要と考えられているGSC(glioma stem cell)を蛍光物質でマークして、HUVEC細胞にて作成した血管内皮モデルへの遊走、血管構造の形成を観察することで機序解明を進める事を計画している。 現時点で、オルガノイドモデルが安定した形で作成できておらず、計画した解析が行えていない状況にある。そこで、市販の膠芽腫細胞株及び当施設にて樹立した膠芽腫細胞株を用いtube formation assayを用いることで、VMの阻害効果を有する実用的な薬剤の発見とその機序解明につき検討を行っている。候補薬剤として他の癌腫でtubeの形成抑制が確認されているスタチン(シンバスタチン)を用いた実験を行っており、複数の膠芽腫細胞株(U87MG, U251)においてtubeの形成阻害が確認できている。現在、その分子メカニズムの解明に取り組んでいる。TGF-βとそのシグナル伝達に関与する分子に注目し、発現解析を行った後、強制発現株等を用いた検証を計画している。 このin vitroでの研究を進める事で、オルガノイドモデルが安定して作成できた際の実験の大幅な進捗に繋がるものと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の解析における新規性の高い研究手法として、オルガノイドモデルを用い微小環境を可能な限り実験系に再現することで、真の血管擬態の機序解明を行うことであるが、現時点で安定したオルガノイド作成が行えていない状況にある。そこで、市販の膠芽腫細胞株、当施設にて樹立した細胞株を用い、tube formation assayを用いた血管擬態の阻害効果を有する薬剤の発見と機序解明に関する研究を進めている。 スタチン(シンバスタチン)が市販の細胞株(U87MG, U251)及び当施設にて樹立した細胞株のtube形成能を強く阻害することが確認出来ており、現在その分子メカニズムに関する検討を進めている。特にTGF-βとこれに関与するシグナル伝達にtube形成抑制に関連するメカニズムが存在することを予想し、解析を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
オルガノイドモデル作成に関する条件設定が喫緊の課題である。腫瘍組織から腫瘍細胞を切り出し、細片化したものを、サプリメントを含む培地に投入し、120rpmで回旋培養する方法を用いているが、ある程度の腫瘍塊を形成したところで成長しない、あるいは成長したものを細片化(dividing)した後に増えなくなるとする事態に陥っている。これらの工程をステップごとに見直す作業が必要と考えている。新規膠芽腫症例は月に1例のペースで発生しており、このペースで実験を進めていくこととする。 また、スタチンによるtube形成能抑制効果に関する実験を進めていき、in vitroでの分子メカニズムの解明が終了した時点で、in vivoでの実験について進めていく予定である。
|