研究課題/領域番号 |
22K16698
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
斯波 宏行 大阪医科薬科大学, 医学部, 非常勤医師 (60910693)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 悪性脳腫瘍 / ホウ素中性子捕捉療法 / アミノ酸トランスポーター / 薬物相互作用 / ドラッグリポジショニング / 抗てんかん薬 / 脳腫瘍 / 中性子捕捉療法 |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞が持つBPAの取り込み機構に介入する事によってBPAの取り込み量を増加させることを目指し、BPAの他に既存の薬剤を併用する事によって、その薬剤相互の作用から10Bの集積増加をもたらしBNCTの治療効果向上へ導く。臨床で広く一般的に使用されている既存薬剤とホウ素化合物を併用するという効果増強の方法は、従来の「新規ホウ素化合物を開発する」という手法とは全く異なる。本研究ではBPA集積に関わるトランスポーター(LAT1)への既存薬剤併用の影響を、蛋白及びmRNAレベルでの発現定量とホウ素の集積との関連から導き出し、中性子照射において付与される放射線生物学的効果を検証し有用性を検討していく。
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研究成果の概要 |
悪性髄膜種は手術や放射線治療による根治が困難であり、予後も不良だったが、我々はホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の有効性を実証してきた。BNCTの効果はホウ素化合物によって左右され、悪性髄膜種の予後を大幅に改善させる結果にはまだ至っていない。新規ホウ素化合物の開発も極めて複雑である。我々はこれらの課題を克服するべく、現在使用されているホウ素化合物BPAと既存の医薬品の併用を考案した。BPAと抗てんかん薬ラモトリギンの併用によって腫瘍細胞のホウ素の取り込み量が増加し、BNCTの効果を高められるという仮説を立て、今回の研究によって仮説の正しさを証明した。今後、臨床に応用する手順の確立が期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、これまで治療困難とされてきた悪性脳腫瘍に対する新たな治療の選択肢として注目されている。ただ、BNCTの治療効果は、使用するホウ素化合物によって左右され、現在使用されているboronophenylalanine(BPA)では、まだ十分な効果とは言えない。過去に各国で様々な新規ホウ素化合物が考案されてきたが、実用化には至っていない。我々は既存の医薬品とBPAを併用するという費用対効果に優れた新たな手法を考案し、今回の研究でその実現可能性を見出した。臨床での応用にはまだ時間を要するが、この本邦独自の手法によって、BNCTの治療効果の更なる向上が期待される。
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