研究課題/領域番号 |
22K16700
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
高橋 慧 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (00852120)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | Glioma / radiomics / CycleGAN / radiogenomics / Deep generative model / 脳腫瘍 / 神経膠腫 / MRI / 深層生成モデル / IDH変異 / Radiomics / 機械学習モデル |
研究開始時の研究の概要 |
神経膠腫の腫瘍特性の予測においてradiomics解析は有用な方法であると考えられているが、社会実装において解決すべき問題が残されている。Domain shiftによる機械学習装置の予測精度の低下の問題がその最たるもの一つである。いくつかの解決方法が研究されているが、最も有望な解決方法の1つはデータの独自性を維持しながら、ある程度分布を揃える方法である。我々はその方法として、深層生成モデルの応用を提案する。本研究はdomain shift問題の解決のみならず、潜在的に本邦のMRIを始めとした蓄積された大量の医療用データの利用価値を高める可能性がある。
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研究実績の概要 |
神経膠腫の腫瘍特性の予測においてradiomics解析は有用な方法であると考えられているが、社会実装において解決すべき問題が残されている。Domain shiftによる予測精度の低下の問題がその一つである。いくつかの解決方法が研究されているが、モデルではなくデータにアプローチする方法の方がより応用範囲が広い。そして深層生成モデルはデータの独自性を維持しながら、ある程度その分布を揃えることができる。本研究の目的は神経膠腫の腫瘍特性の予測を行う機械学習装置の、domain shiftに起因する性能の低下を深層生成モデルの応用で解決を図ることである。本年度は研究実績として、3回の学会発表を行った。また、研究を通じて得られた知見を査読付きの日本語論文一編にまとめた。また、本研究の結果をMedical Image Analysis誌に投稿中である(under review)
令和5年度の主たる研究目標はStyle変換後の画像を上手く利用できるような予測装置の作成方法を確立することであった。昨年度の成果を基にCycleGANにてstyle変換を行なった画像を入力とした場合、変換を行わなかった場合に比して、Domain shiftによる性能の低下が抑えられる可能性があることがわかった。次に、style変換を行なわないMRI画像においてでどのようなモデルがIDH変異予測を行うradiogenomics的なタスクに有効であるのかを調べることとした。モデルごとに大きな差があることが判明したのでこの結果をMedical Image Analysis誌に投稿中である(under review)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は1.悪性度や遺伝子変異の予測装置の作成を行う。2. 作成した予測装置の精度を検証する。3. 2.で作成した変換器を用いて変換前の画像と変換後の画像で性能が変化するかを検討する。 4. 得られた知見から精度が高く強い汎化性能を持った画像変換機と予測機の開発を試みる予定であった。概ね研究は順調に進んでいる。まず、神経膠腫において最も重要な遺伝子変異であるIDH変異予測を行う機械学習を装置を作成した。初めに作成した機械学習装置は先行論文の構造を模したものであったが、先行研究と同程度の性能を公開データセットで示した。一方で公開データセットで学習したモデルを使い、プライベートデータセットのIDH変異予測を行うとDomain shiftによる予測性能の低下が予想通り起こった。次にCycleGANにて画像のstyle変換を行ない擬似的にDomainを合わせた場合、Domain shiftによる性能の低下が抑えられるのか否かの検証を行なった。結果として、CycleGANによる画像のstyle変換はDomain shiftによる性能の低下に対して有効で可能性があることがわかった。次に、一旦style変換を行なわない画像においてでどのようなモデルがradiogenomics的なタスクに適しているのかを調べることとした。より具体的にはどのような構造のモデルが高い精度を示し、そしてDomain shiftによる予測精度の低下に頑強であるのかを調査した。結果として、モデルごとに大きく予測性能が違うことが判明し、特定のモデルが特に有用であることがわかった。このモデルは先行研究よりも予測精度が高く、かつDomain shiftによる予測精度の低下に頑強であった。
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調に研究が進んでいると考えているので、当初の予定通り令和6年度の研究予定を推進する予定である。しかし、思ったよりもモデルの工夫でDomain shiftを抑えることができる可能性があること、加えてCycleGAN大きな計算リソースを要求するシステムであることを考え合わせるとモデルの工夫にも注力を行おうと考えている。このため計画が変更になる可能性がある。
1. 変換機でstyle変換をした画像も学習に使い予測機を作成し、2. style変換後の画像が学習用データとしても有用であるかを検討する。具体的には、BraTSデータセットで使用した予測機の精度向上にBraTS styleに変換したNCCの画像が有用であるかを検討する。この場合はBraTSデータセットのテスト部分に対する成績がより重要である。3. 臨床現場への実装の模索を行う。
また、上記の予定に加えて人間と機械学習装置の比較試験も進めている。現在、脳外科医レジデント5名、脳外科専門医5名、神経放射線科医5名の試験を完了している。あと、数名の神経放射線科医に読影実験にご協力を頂き結果を論文化する。
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