研究課題/領域番号 |
22K16711
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤田 健司 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (80623644)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脂肪由来幹細胞 / 再生医療 / 間葉系幹細胞 / 関節軟骨 / 多血小板血漿 |
研究開始時の研究の概要 |
変形性関節症(OA)では関節軟骨の変性が生じるが、関節軟骨は自己修復能力に乏しく、その修復に有効な治療法は確立していない。再生医療領域では、脂肪由来幹細胞(ADSCs)を用いた治療が注目されている。現在ADSCsによる関節軟骨の変性保護作用は認めたものの軟骨の再生に至った報告はない。ADSCsは多血小板血漿(PRP)含有培地を使用することで軟骨細胞マーカーの発現上昇が報告されている。本研究ではADSCsをPRP培地で分化誘導を行い、L-Ascorbateを用いシート化することで軟骨分化誘導ADSCsシートを作成し、Rabbit OAモデルに局所投与することでOAに対する治療効果を評価する。
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研究実績の概要 |
in vitroの研究では、RT-PCRによる評価においてPRPで軟骨分化誘導を行った脂肪由来幹細胞はアスコルビン酸による処置でシート状構造を形成しても、細胞の遺伝子特性が変化しないことが分かった。また、Toluidine blue染色では軟骨細胞でみられるムコ多糖の分泌がPRPによる分化誘導を行った細胞群でも認められ、アスコルビン酸処置でも変わらず分泌が見られた。これにより軟骨分化したADSCをシート化した軟骨形成細胞シートが作成できた可能性が示された。またELISA法で脂肪由来幹細胞から分泌され関節軟骨の変性を促進するとされるVEGF-Aが軟骨形成細胞シートで抑制傾向にあった。 vivoでの実験では、巨視的および組織学的評価において、実際にPRPによる軟骨分化誘導を行ったADSCをシート化した軟骨形成細胞シートをウサギ変形性膝関節症モデルに投与することで、早期から変性の抑制効果が認められた可能性が示された。免疫組織化学染色による評価では、軟骨基質の主成分であるアグリカンやコラーゲンの分解酵素であるMMP-1やMMP-13、ADAMTS-4の発現が抑制される傾向を認めた。これは関節軟骨の変性抑制効果を示していると考えられた。軟骨分化誘導を行った脂肪由来幹細胞のシート化により、軟骨形成細胞を多量に関節内投与が可能であると考えられるが、その投与された細胞の多くは、DiI labelingで示されているように実際に関節軟骨に生着して軟骨細胞として機能するのではなく、周囲の滑膜に存在して、周囲からのサイトカインの分泌により関節軟骨の保護作用を示している可能性がある。今後、in vitro、in vivoともにsample数において更なる評価が必要と考えられる。現在実験は進行中であるが、変形性関節症に対する軟骨形成細胞シートの関節軟骨保護作用が示された。ここまでの内容を論文掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroの実験についてもin vivoの実験においても、おおよそ予定通りの進捗となっている。ここまででおおよその実験結果が出そろったが、最終年度でvivoでの残りの実験結果をまとめ、発表・論文化を進めていく方針である。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroにおいては、ELISA法を用いて脂肪由来幹細胞から分泌され関節軟骨の変性に関与しているとされているVEGF-Aの分泌についてさらなる評価を進める。分泌の抑制が見られれば変形性関節症に対する軟骨保護作用を示す一つの材料になると考える。また、in vivoの研究では個体数がまだ不足しているので、個体数を増やすことにより、結果として信頼性を高められると考えられる。実験が終了したのちには、その結果の評価を行い、国内・国外を問わず発表を行い、さらなる結果を加えた論文として発表することがこの研究における今後のvisionである。
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