研究課題/領域番号 |
22K16721
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
長谷川 延彦 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70909192)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 骨軟部腫瘍 / cell free RNA / 融合遺伝子 / リキッドバイオプシー |
研究開始時の研究の概要 |
骨軟部腫瘍は、他がん種と比べ、血液腫瘍マーカーが少なく、またその希少性と多様性の影響もあり、リキッドバイオプシーに関する知見は少ない。適切な集学的治療には、診断、再発予測、治療効果判定を低侵襲かつ早期に行える手法が求められるが、現状では画像検査によるスクリーニングに限られ、特異的な腫瘍マーカーを用いた検査法はない。この問題解決に向け、血液検体からの骨軟部腫瘍分子マーカー解析フローの構築、骨軟部腫瘍分子マーカー解析の臨床的有用性評価することにより、革新的ながん診断技術の開発とその臨床応用を進め、患者生命予後改善を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、現在まで確立されていない「骨軟部腫瘍におけるリキッドバイオプシー」について腫瘍組織診断と同等、またはそれ以上の精度で血液検体での適切な分子腫瘍マーカーを用いた解析法を開発し、迅速な骨軟部腫瘍の診断、早期に適切な治療選択を行うことで、骨軟部腫瘍の予後改善を目的としている。骨軟部腫瘍(肉腫)は、約30%で腫瘍特異的融合遺伝子が含まれる点が特徴である。骨軟部腫瘍関連融合遺伝子は、現行の保険収載での、cell free DNA(cfDNA)解析に含まれておらず、またDNAベースの融合遺伝子解析は、煩雑で同定率も十分ではない。この問題の解決に向けて、血漿中のcell-free RNA (cfRNA)を用いて、肉腫における融合遺伝子同定プロトコール構築、臨床的有用性を検討する。本年度は、2021年に報告した非小細胞肺癌のcfRNAを用いた融合遺伝子解析プロトコールをベースに、微量のRNAから効率の良いcDNA合成、肉腫融合遺伝子オリジナルプライマーを使用したPCR増幅、シークエンス解析を行った。治療前のユーイング肉腫4症例のうち3症例で、腫瘍組織とブレークポイントを同一とするEWSR1-FLI1融合遺伝子を同定できた。また、治療前の粘液型脂肪肉腫においてもFUS-DDIT3融合遺伝子を同定することができた。ユーイング肉腫、粘液型脂肪肉腫に対して低侵襲での診断の可能性を見出し、cfRNA解析に適した肉腫が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肉腫のオリジナルプライマーを作成し、cfRNAの解析プロトコール手法に基づいて臨床検体を用いて検証を行なった。治療前の臨床検体(ユーイング肉腫、粘液型脂肪肉腫)より同定しており、現在までの進捗状況としては、当初の予定通りと考える。
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今後の研究の推進方策 |
ユーイング肉腫、粘液型脂肪肉腫に対して低侵襲での血液検体からの診断の可能性を見出した。本年度に解析を行った症例に対して、治療タイミングに応じて再度採血を行い、治療効果との相関性を確認する。また、滑膜肉腫などのその他の融合遺伝子関連肉腫に対しても検証を行い、骨軟部腫瘍におけるリキッドバイオプシーの臨床的有用性を検討する。
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