研究課題/領域番号 |
22K16733
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三浦 紘世 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40818051)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 慢性腰痛 / 三次元動作解析 / 歩行解析 / 筋電図解析 / 成人脊柱変形 / 腰部脊柱管狭窄症 / 深層学習 / 腰痛 / 腰痛症 / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
腰痛は慢性的な運動器の痛みの中で最も頻度が高く,高齢者では移動能力の低下を招き,寝たきりのリスクとなる。従来はレントゲンなど静的な画像診断を元に評価が行われているが,腰痛は歩行などの動作で痛みが悪化する症例が多く,十分ではない。三次元動作解析と筋電図計測を同期させる歩行解析システムを開発して,連続歩行中における体幹・四肢関節の三次元的な運動角度や筋活動の動的な変化を同時に捉えることで, 高齢者腰痛症の「動的」な評価の意義・役割を明らかにするとともに、深層学習を用いたAI姿勢動作解析を組み合わせることで,歩行動画を遠隔解析することにより一般臨床への適用という大きな課題に挑戦する。
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研究実績の概要 |
慢性腰痛患者の歩行動作評価は、臨床的に有用な情報が得られる。歩行動作解析をより一般的に行えるように、歩行動画に深層学習を用いた評価を試みている。 深層学習の診断精度向上のために、三次元歩行動作解析の診断ラベリングを、より確かにする必要があるため、脊椎骨盤アライメントの異常を有し慢性腰痛による歩行障害の要因をきたす成人脊柱変形ASD患者と、アライメント異常を伴わず下肢痛による歩行障害をきたす腰部脊柱管狭窄症LSS患者の2群について三次元歩行動作解析を行い、前向きに比較検討した。 ASD、LSS両群とも13例ずつを対象として、単純X線による脊椎骨盤アライメント、VICON NEXUSを用いた連続歩行による脊椎骨盤バランスの変化、無線表面筋電計を用い測定したintegrated electromyography(iEMG)による体幹の筋活動を評価した。歩行負荷は継続困難となるまで平地を連続歩行とした。脊椎骨盤バランスと筋活動について歩行開始直後と終了直前での変化を2群間で比較した。 結果、両群とも連続歩行後に矢状面バランスの前傾は有意に増加したが、ASD患者では骨盤に対して脊椎が前傾したが、LSS患者では骨盤のみが前傾した。2群間の比較では歩行開始直後と終了直前での変化量に有意差はなかった。筋活動についてASD患者は歩行により腰部傍脊柱起立筋の筋活動が有意に低下し、LSS群では連続歩行後に僧帽筋と大殿筋の筋活動が有意に上昇した。2群間の比較で、腰部傍脊柱起立筋の変化量が異なった。 三次元動作解析と筋電図解析を用いた歩行動作解析により成人脊柱変形と腰部脊柱管狭窄症の歩行バランス変化の特徴が明らかになった。どちらも腰部の疾患で歩行障害をきたし鑑別に難渋する症例も少なくない。この違いを歩行動画の診断ラベリングに活かして深層学習による診断サポートの精度向上に繋がることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
深層学習による病態診断サポートの精度向上のために、三次元動作解析と筋電図解析を用いた歩行解析により病態ごとの歩行姿勢の特徴を検出し、診断ラベリングの精度向上を試みた。前向きに比較検討を開始したことから、症例数はまだ十分とは言えないが、現時点で統計学的有意な差があり、それぞれの病態の歩行姿勢の特徴が明らかとなった。これらの特徴を活かした診断ラベリングによる深層学習の診断サポートとしての精度向上に繋げたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度行った歩行解析をさらに症例を蓄積して病態ごとの歩行姿勢の特徴の違いを明らかにして、歩行動画からの病態診断のラベリングを確かにしていく。それにより、深層学習を用いた慢性腰痛患者の病態を歩行姿勢から推定するプログラムの、一般臨床での応用を目標に、診断サポートとしての精度向上に努める。最終的には、医師が実臨床で動画を用いて判定できるようなGraphical User Interfaceの構築を目標とする。
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