研究課題/領域番号 |
22K16739
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 愛知医科大学 (2023) 名古屋大学 (2022) |
研究代表者 |
大橋 禎史 愛知医科大学, 医学部, 助教 (90877044)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 滑膜炎の抑制 / 軟骨保護作用 / 嫌気性解糖系阻害剤 / 滑膜炎 / 変形性関節症 / 糖代謝変化 / 新規治療薬 |
研究開始時の研究の概要 |
関節リウマチは関節内に滑膜炎を引き起こし、軟骨破壊と骨破壊を引き起こす自己免疫疾患である。しかしながら、現在のところ関節破壊に対する有効な進行予防薬は無い。申請者らは、以前の研究において滑膜炎モデル細胞は、嫌気性解糖系が亢進されており、同時に好気性解糖系が抑制されていること、嫌気性解糖系阻害剤である 2-deoxyglucose (2DG)に、滑膜炎による代謝変化を阻害することで、滑膜炎関連遺伝子の発現が抑制されることを報告した。しかしながら、in vitro 実験系のみの結果であり、動物モデルを用いたin vivo 実験系により、この結果を検証する必要がある。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、滑膜炎の動物モデルを用いたin vivo実験を通じて、嫌気性解糖系の阻害剤が滑膜炎およびそれに伴う二次性変形性関節症の予防及び治療に与える効果を明らかにし、新たな治療薬を開発することである。本年度は、前年度に引き続き、予備的な小規模研究の継続と本研究の開始を主に行った。まず、SKGマウスを用いた関節炎発症の手技について、前年度に検討したマンナンやラミナリンに加え、カードランについても検討し、関節炎が問題なく発症することを確認した。カードランを採用した理由は、カードランが関節炎モデルだけでなく脊椎関節炎モデルでも使用されているため、研究の幅が広がると考えたからである。次に、関節炎マウスから得られた関節軟骨についてX線と組織学的検査にちては、関節切片を用いた組織学的評価が困難であることが明らかになり、今後の改善が必要であることが分かった。一方、CTを用いた関節の評価は安定して行えることが確認されたため、今後は主にこの方法で形態学的変化を評価する予定である。 滑膜細胞の採取は皮膚や毛などの不純物を取り除いた足部を液体窒素により凍結粉砕し、mRNA、タンパクを回収して、滑膜炎遺伝子、解糖系遺伝子の解析を行ったが、結果のばらつきを認めるため引き続き小規模研究を進めた後、採用する予定である。 また、マウスの心臓血から得られた血漿を使用して、関節炎マウスにおける滑膜炎遺伝子(MMP3, MMP13)の発現亢進と解糖系遺伝子(AMPK)の発現の小規模実験で心臓血の採取および保存方法に問題があることが分かり、今年度はこれを修正して実験を進めていく予定である。細胞内代謝の検討については軟骨、滑膜細胞はマウスのサイズの問題で十分な細胞数を抽出することは困難であり、別の方法も含めて模索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
追加で予備的な小規模研究が必要であり、本研究の開始が少し遅れたが、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に行った予備的な小規模研究の成果を基に、やや遅れはありましたが、本格的な研究プランの開始をしてる。評価する関節を膝関節から手部と足部の関節に変更し、新たに血漿から得られたサンプルを利用してタンパク定量とELISA実験を採用した。また、研究計画書から逸脱しない範囲で、改善点や追加実験が必要であれば、随時検討を加えていく予定である。研究を遂行する上での主な課題は引き続き滑膜細胞の採取である。予備実験においてマウスのサイズが小さいため、滑膜細胞のみを正確に単離することは困難だった。今後は、関節(関節軟骨、軟骨仮骨、関節包、滑膜)のみを利用して、液体窒素での凍結粉砕を通じて細胞、mRNA、タンパクを回収し、コントロール群と比較する相対的変化で評価することが現実的だと考えています。この方法を試していますが、結果がまだ不安定なため、さらなる工夫が必要である。
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