研究課題/領域番号 |
22K16742
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
刀根 慎恵 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80763739)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | ポリエチレン / 酸化 / 人工膝関節置換術 / ポスト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は人工膝関節置換術後に抜去された様々なPS型脛骨インサートを用いて、post部分における表面構造の変化と酸化劣化の評価を実体顕微鏡及びフーリエ変換赤外線分析を用いて計測し、post部分の損傷部位や耐久性を明らかにすることである。近年、人工膝関節置換術に使用されるPS型脛骨インサートのpost部分における破損の報告が散見されるが、post破損に至るメカニズムは明らかではない。生体内より抜去されたPS型脛骨インサートのpostを解析することによって、post破損に至る原因を解明する一助となることが考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は人工膝関節置換術後に抜去された様々なPS型脛骨インサートを用いて、post部分における表面構造の変化と酸化劣化の評価を実体顕微鏡及びフーリエ変換赤外線分析を用いて計測し、post部分の損傷部位や耐久性を明らかにすることである。本研究では患者の体内から抜去されたサンプルを用いるため、すでに三重大学医学部附属病院臨床研究倫理審査 (H2019-212) の承認を得ている。また、本研究は人工関節インプラント抜去調査グループとして三重県内の10施設を協力施設とし、抜去されたサンプルと患者情報は三重大学に提供され、測定及び解析はすべて三重大学で行う。本研究に使用するサンプルには従来型の超高分子量ポリエチレンだけでなく、架橋型超高分子量ポリエチレンやビタミンE添加超高分子量ポリエチレンなども含まれており、様々なpostの損傷形態や酸化劣化が明らかとなる。国内外において人工膝関節置換術後のpostの破損報告は散見されるものの、post部分に注目して表面構造の変化と酸化度の計測を行った報告は少なく、このような解析を行える機関・施設が限られているため、今後も報告は少ないと考えられる。これまで人工膝関節置換術後に抜去されたPS型脛骨インサートは29例であり、従来型の超高分子量ポリエチレンだけでなく、架橋型超高分子量ポリエチレンやビタミンE添加超高分子量ポリエチレンなどといった製造工程の異なる様々な脛骨インサートが含まれている。それぞれのPS型脛骨インサートのpost部分における表面損傷形態や酸化度を比較検討することでpost折損に至るメカニズムが明らかとなる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2010年より人工膝関節置換術後に抜去を余儀なくされた脛骨インサートは現時点で66サンプルあり、そのうちpost-cam機構を有するPS型脛骨インサートは現時点で29サンプル存在する。抜去されたPS型脛骨インサートサンプルは十分に洗浄し、速やかに真空状態に密閉し、-80℃の環境下で保存した。29サンプルは男性7例、女性22例で抜去時の平均年齢は76.6歳、平均身長は151cm、平均体重は63.6kg、Body mass indexは27.9kg/cm2、生体内埋入期間は51ヵ月であった。使用機種メーカーはAesculap12例、Zimmer-Biomet10例、DePuy6例、Stryker1例でインサートの厚みは平均11.9mmであった。再置換理由は感染が16例、無菌性ゆるみが4例、骨折が4例、疼痛が2例、関節内血腫が1例、ポスト折損が1例、膝蓋腱断裂が1例、不安定性が1例であった。現在エビデント社のデジタルマイクロスコープを発注し入荷を待っている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
現在エビデント社のデジタルマイクロスコープを発注している状態であり、入荷次第デジタルマイクロスコープを用いて脛骨postの表面損傷形態の解析を行う。その後、脛骨postに対して200μmの薄片を作製しフーリエ変換赤外線分析を用いて酸化劣化を測定する予定である。測定したデータと各パラメーター(身長、体重、年齢、BMI、生体内期間など)と酸化度、残留脂質量との相関も検討する。また、表面損傷形態と酸化度との関連性も検討する。
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