研究課題/領域番号 |
22K16743
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
武岡 由樹 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (30943592)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | TRPV4 / 椎間板髄核細胞 / オートファジー / 細胞外基質代謝 / 椎間板変性 / 細胞外基質 |
研究開始時の研究の概要 |
腰痛の主たる原因となる脊椎椎間板変性は、現在でも有効な治療法が確立していない。椎間板内部は高静水圧環境にあり、日常の体動や姿勢の変化により静水圧も変化することが知られている。TRPV4は浸透圧センサーとして同定されたチャネル型レセプター(主にCa2+)で、椎間板では細胞外基質や炎症系サイトカインとの関与が報告されているが、その働きは十分解明されていない。今回、TRPV4の活性化が椎間板内恒常性維持に寄与していると仮説を立て、TRPV4の椎間板内での役割を明らかにし、治療ターゲットとしての将来的な臨床応用に向けて、細胞実験と動物実験を計画した。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ラット椎間板においてTransient receptor potential vanilloid-4 (TRPV4)の抑制および活性化が恒常性維持、すなわちオートファジーと細胞外基質代謝に与える影響を明らかにすることである。2022年度はラット尾椎椎間板髄核細胞を用いて細胞実験を行った。 機能欠失実験ではTRPV4 siRNAをリバーストランスフェクション法で細胞に導入し、炎症刺激(IL-1β添加)条件下で、タンパクを抽出してオートファジーマーカーや細胞外基質同化因子・異化関連因子をウェスタンブロット法で評価した。TRPV4の抑制により、オートファジーの有意な抑制(p62/SQSTM1の低下とLC-IIの増加)と、細胞外基質同化因子(Aggrecan, Collagen type II, TIMP1, TIMP2)の有意な減少、異化関連因子(MMP3, MMP13)の有意な増加を認めた。また、TUNEL染色を用いた細胞生存率の評価では、TRPV4抑制により細胞生存率の有意な低下を認めた。 機能獲得実験では、TRPV4アゴニストを添加して細胞を培養し、同様に炎症刺激条件も設けて、オートファジーと細胞外基質の評価をウェスタンブロット法で行った。炎症刺激下において、アゴニストによるTRPV4の活性化によりオートファジーマーカーの有意な増加を認め、細胞外基質同化因子の有意な増加と、異化関連因子の有意な低下を認めた。さらに、アポトーシスマーカーを評価し、アポトーシスの抑制(Cleaved PARP, Cleaved Caspase 9の低下とPARPの増加)が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、1年目は細胞実験を中心に行う計画であった。現在までに、計画していた機能欠失実験、機能獲得実験をほとんど完了しており、計画通りであると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞実験においては、ウェスタンブロットによるタンパクの評価を追加する。 さらに動物実験を開始する。我々の研究室で過去に開発した、ラット尾椎静的圧迫モデルを用いて、機能欠失・獲得実験を行う。評価法はX線学的評価(椎間板高の計測)、組織学的評価(サフラニンO染色)、蛍光免疫染色である。動物モデルは最長56日飼育する予定であり、細胞実験よりも時間を要する見込みである。
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