研究課題/領域番号 |
22K16783
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
小倉 浩一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (20583115)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Ewing肉腫 / 遺伝子変異 / バイオマーカー / 治療標的 |
研究開始時の研究の概要 |
Ewing肉腫は小児に好発する高悪性度肉腫で、日本での年間発症数は100人未満と代表的な希少がんである。特に転移例、再発例では有効な治療法がなく、極めて予後不良な疾患である。近年、ヒトゲノム配列の解明と次世代シークエンサー等の技術革新により、Ewing肉腫においても予後不良に関与する可能性のある二次変異が同定されている。本研究ではこれらの変異がEWS-FLI1に制御される転写活性化に及ぼす影響を解明し、臨床的意義を解明するとともに、CRISPRスクリーニングや薬剤スクリーニング(HTS)等の最新の技術を駆使して再発高リスク変異を有するEwing肉腫の新規治療開発を目指したい。
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研究実績の概要 |
Ewing肉腫においては、EWSR1遺伝子、ETSファミリー転写因子群との間に融合が必発であり、染色体転座による異常転写因子産生が腫瘍発生に中心的な役割を担う。特にEWS-FLI1融合遺伝子、EWS-ERG融合遺伝子はEwing肉腫の非常に強いドライバー遺伝子として知られており、その他の二次変異は極めてまれであるといわれている。申請者らは米国のデータであるMSK-IMPACTに登録された113例のEwing肉腫のクリニカルシークエンスのデータを解析し、ETS domain transcriptional repressorをコードするERF変異(7%)、FGFR1変異(2.7%)など新規の遺伝子変異を同定し、これらが予後不良と相関していること、in vitroの解析でERFを過剰発現した場合は逆に細胞増殖やコロニー形成が減少することを明らかにし、ERFの機能喪失がEwing肉腫のよりaggressiveな表現型に関与することを報告した。さらに、Ewing肉腫の人種間の変異プロファイルの相違を比較するために、日本人の検体を集積し、全例について病理診断の再確認を行い、40例の適格症例を同定後、遺伝子解析に向けた核酸抽出(DNAおよびRNA)を行った。現在、遺伝子解析のためのライブラリを作成中である。また、クリニカルシークエンスから見た日本人におけるEwing肉腫の変異プロファイルを同定するために、公開されている臨床およびゲノムのビッグデータだるC-CATデータベースを用いてEwing肉腫の症例を抽出し、解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初期に新型コロナ感染症の蔓延があったこともあり、検体収集がやや遅れていたが、検体収集を完了し、核酸抽出まで行った。
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今後の研究の推進方策 |
日本人におけるEwing肉腫の変異プロファイルを同定するために二つの異なるアプローチを用いており、C-CATデータベースに登録されているEwing肉腫の解析が終了したため、これを来年度には論文として公表する予定である。また、収集した検体の解析も今年度中に早急に行い、先に報告した米国の変異プロファイルとの比較を行う予定である。 最終的には1) 同定された予後不良に関与する可能性のある二次変異に関しては、同変異を有する細胞株におけるin vitroの解析を通して、治療標的の同定を行い、予後不良なサブセットであるEwing肉腫の有効な新規治療開発への応用へとつながる成果を発表すること、2) ゲノム異常をLiquidバイオプシーに応用し術前化学療法の効果予測、再発予測などのバイオマーカーとして利用すること、を目指したいと考えている。
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