研究課題/領域番号 |
22K16785
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
菊地 央 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (20828305)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 腫瘍血流 / 腫瘍増殖能 / 腫瘍血管内皮細胞 / 腎細胞癌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,腫瘍血流の違いが小径腎細胞癌の進展・悪性化の促進に影響しているのか実際の臨床症例から解析を試みる.腫瘍血流の違いにより腫瘍増殖能の変化が起こっているのか,腫瘍増殖能が亢進している腫瘍組織内において代謝経路がどのように変化しているのかを明らかにする.さらに,そうした環境下において発現が亢進する腫瘍血管内皮細胞の分泌因子を同定し,癌細胞の増殖を促進するか解析する.これらの結果をもとに癌をdormantな状態から,進展・悪性化のスイッチをいれる分子メカニズムを解明し,癌の進展・悪性化の制御を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究では、腫瘍血流の違いが小径腎細胞癌の進展・悪性化の促進に影響しているのか実際の臨床症例から解析を試み、超音波検査による血流解析から腎中枢部に近い腫瘍の方が外方に発生した腫瘍と比較して、血流の増強とうっ滞傾向が強いことが判明した。さらに今年度は手術で摘除された腎癌組織を用いた免疫組織学的解析により腎中枢部に近い腫瘍は細胞分裂マーカーの発現が高値となっていた。このことから、小径腎細胞癌の中でアグレッシブに増大・進展するものとしないものとの差を生み出す要因として、腫瘍への血流がその違いを生み出す一つの要因だと推定された。 腫瘍血流が腫瘍増殖の違いをもたらすことが示唆されたが、そこに関わるメカニズムの解析をすすめている。腫瘍血管内皮細胞が腫瘍の悪性化に影響することは過去に証明されており、腫瘍血管内皮細胞マーカーの一つであるBiglycanは腎癌の腫瘍血管内皮細胞においても発現していることは確認されている。手術で摘除された腎癌組織を用いてBiglycanの免疫染色を行い、腫瘍の部位による発現変化があるか検証している。またTCGAのデータベースから、腎中枢部に近い腫瘍と、外方にある腫瘍におけるRNAシークエンスのデータを解析しており、中枢部にある腫瘍は代謝にかかわるパスウェイの分子発現が上昇しており、一方で外方にある腫瘍はEMTや血管新生にパスウェイの分子発現が上昇していることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
腎癌組織を用いた免疫組織学的解析を行っているが、症例数の蓄積に時間を要しているため。ヒト不死化腫瘍血管内皮細胞によるin vitro実験で癌細胞の増殖に関わる分子の同定を予定しているが、腫瘍増殖が亢進している環境を再現した実験系の構築に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
北海道大学病院腎泌尿器外科において、腎細胞癌にたいし手術で切除された検体を用いて、腫瘍血管内皮細胞マーカーの免疫染色による組織学的解析を行う。ヒト腎細胞癌由来腫瘍血管内皮細胞を用いて下記のin vitro実験を行い、腫瘍増殖が亢進している環境を再現した状況で腫瘍血管内皮細胞を培養する。培養状況による腫瘍血管内皮細胞の遺伝子発現や分泌因子の変化を解析し、癌細胞の増殖に関わる分子を同定する。また、 外方にある腎腫瘍はEMTや血管新生に関わる分子発現が上昇している可能性が見出されたので、そのよう腎腫瘍の特徴を解析し、転移が生じる症例を中心に組織学的解析、分子発現の解析を行う。転移に関わる分子メカニズムの同定を試みる。
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