研究課題/領域番号 |
22K16789
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
関井 洋輔 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (70824770)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 夜間多尿 / 活性酸素 / シリコンナノ粒子 / 動物モデル / マウス / 酸化ストレス / 水素 |
研究開始時の研究の概要 |
夜間頻尿はその有病率が成人人口の36-44%と高く、下部尿路症状の中で最も生活の質を低下させる大きな健康問題である。夜間頻尿患者の約8割は夜間多尿であるため、夜間多尿に対する治療が重要となるが、既存の治療効果は乏しく、新規の治療戦略が切望されている。我々は世界に先駆けてヒトの夜間多尿を模したモデルマウスの樹立に成功し、そのモデルを使って、腎におけるメカニズムを見出した。そこで関与する経路の活性化をきたす活性酸素に着目した。我々は、すでに体内に効率よく水素を発生させ、活性酸素を抑制するシリコンナノ粒子を共同で開発している。本研究ではシリコンナノ粒子が夜間多尿を改善させるかどうかについて検討する。
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研究実績の概要 |
夜間多尿はQOLを大きく損なう病態であり、その頻度は加齢に伴って増加する。しかし、その発症機序はよく分かっておらず、既存治療の効果も限定的である。我々は加齢に伴うNO減少に着目し夜間多尿モデルマウスを樹立し、腎遠位尿細管におけるSPAK-Na+Cl-共輸送体(NCC)経路の活性化が活動期のナトリウム排泄を抑制し夜間多尿を引き起こすことを見出してきた。我々はNCC経路の活性化をきたす活性酸素に着目した。これまでにすでに体内に効率よく水素を発生させ、活性酸素を抑制するシリコンナノ粒子を大阪大学産業科学研究所と共同で開発している。夜間多尿モデルマウスに対するシリコンナノ粒子の効果および酸化ストレスを介した夜間多尿のメカニズムを検討することを目的とした 19週齢C57BL6/J雄マウスにL-NAME(NO合成酵素阻害剤)と1%高塩分食を2週間摂取させる夜間多尿モデル群と対照群に分類した。抗酸化物質として我々が共同開発したシリコン成分剤を含有した餌を2週間摂取させた。この製剤はpHの高い腸内で持続的に水素を発生し、体内の酸化ストレスを除去する薬剤である。aVSOP法を用いて排尿行動を測定し、夜間多尿の指標として非活動期尿率(非活動期尿量/1日尿量)を算出した。腎の酸化ストレスを4-Hydroxynonenal(4-HNE)の免疫組織化学染色で評価し、腎NCCの活性化をリン酸化NCCのWestern blotで評価することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
普通餌群、夜間多尿群ともn数を増やし、n=6として、普通餌群にシリコン投与しても非活動期尿率は低下しなかったが、(0.123 vs 0.070, p=0.50)夜間多尿モデル群にシリコン投与すると非活動期尿率は有意に低下した(0.281 vs 0.017, p<0.05)。
進捗状況は遅れている理由として、動物実験施設の修繕に伴い、マウスの飼育場所と、尿量測定場所の環境を再度整えるため、時間を要したこと、またシリコンナノ粒子と塩分を混合した餌を作成するのに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
新規水素摂取法であるシリコン成分剤は夜間多尿を改善することが示唆された。 今後、これまでの研究で我々が見出した夜間多尿を引き起こす原因の一つと考えられる、腎遠位尿細管におけるSPAK-Na+Cl-共輸送体(NCC)経路の活性化がシリコン粒子により抑制されているか腎NCCの活性化の評価をウエスタンブロッティングで行い、また腎の酸化ストレスの評価を4-Hydroxynonenal(4-HNE)や8-OHDGなどの免疫組織化学染色で行う予定としている。
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