研究課題/領域番号 |
22K16794
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高松 公晴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (00649874)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 腎細胞癌 / 腫瘍免疫微小環境 / 薬物療法 / 免疫チェックポイント分子 / LAG-3 |
研究開始時の研究の概要 |
LAG-3(lymphocyte activation gene 3)、TIM-3(lymphocyte activation gene 3)、TIGIT(T-cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains)は、腎細胞癌を含む複数の固形癌で次世代免疫チェックポイント (IR: immune inhibitory receptor) 阻害剤の標的分子として注目される。申請者は、相互排他的な発現パターンを示す3分子(LAG-3, TIM-3, TIGIT)の分子生物学的背景を明らかにし、次世代IR阻害剤が腫瘍免疫微小環境に及ぼす影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
当該年度は、腎細胞癌に加えて、主要な泌尿器科悪性腫瘍である尿路上皮癌についても腫瘍免疫微小環境の評価・解析を行った。 先行研究で申請者はLAG3, TIM3, TIGITが次世代免疫チェックポイント分子として相互排他的に発現することを見出した。本研究では、その背景にある分子生物学的機構の解明を試みている。しかし、最近の知見の集積により、T細胞を主体とした獲得免疫へのアプローチ以外の腫瘍免疫微小環境へのアプローチが注目を集めている。免疫チェックポイント分子は主にT細胞性免疫の再活性化を介して抗腫瘍効果を発揮する。人体の中の免疫応答はマクロファージを主体とする自然免疫や、抗体産生を介するB細胞免疫がある。本年度は、腎細胞癌における、これらの免疫環境について評価を行った。 まず、マクロファージを主体とする免疫評価を行い、マクロファージにおける免疫抑制シグナルであるCD163, マクロファージの貪食を活性化するcalreticulinの発現が腎細胞癌の予後とどのように関連するか解析を行った。その結果high CD163 / low calreticulinの群が最も予後不良であることを見出し、自然免疫に基づく腎細胞がんの新たなリスク分類(Innate immune risk score, IIR)を構築した。更に転移巣がIIRでどのように分類されるかを評価したところ、転移巣ではIIRが高い傾向を認め、特に肺転移巣ではリスクが高いことを見出した。IIRごとの分子生物学的特徴を遺伝子解析を加えて解析を行ったところIIR highではTP53/ cell cycle系の変異が多いことを見出した。この結果を論文発表した。Cancer Immunol Immunotherpy doi: 10.1007/s00262-023-03369-8.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は腎細胞がんの腫瘍免疫微小環境の全体像を把握することを目的としている。LAG-3, TIM-3, TIGITの発現背景を探る研究自体は進行途中である。現在世界的に注目されているT細胞以外の免疫に着目した解析が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、B細胞関連の免疫環境についても解析を進める。 また。LAG-3, TIM-3, TIGITの発現の背景にある分子生物学的メカニズムの解明についても並行して研究を行っていく予定である。そのためのfresh検体の集積は進んでいる。
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