研究課題/領域番号 |
22K16802
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
前沢 忠志 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50740445)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 精子凍結 / 精子DNA断片化 / 酸化ストレス / 抗酸化化合物 / ポリビニルアルコール |
研究開始時の研究の概要 |
体外受精の分野では妊娠に至らない原因として胚質不良が大きな問題である。その男性側因子に精子DNA断片化(SDF)が近年注目されており、その誘因として、体外受精の精子調整における密度勾配遠心法や凍結保存による損傷が指摘されている。これに対して精子凍結液への抗酸化化合物の添加が提案されてきたが、その効果は未だ不十分である。我々は細胞外耐凍剤のポリビニルアルコールが精子DNA断片化を抑制する現象を発見した。そこで本研究では本剤が精子DNA断片化を抑制する作用機序を解明するとともに、抗酸化化合物との併用による精子DNA断片化のさらなる抑制を検証する。
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研究実績の概要 |
不妊治療における体外受精の分野では、胚発生途中の分割停止もしくは割球が断片化して胚盤胞に発生しない胚質不良は長年の問題である。近年、体外受精における胚質不良の男性側因子として精子DNA断片化 (sperm DNA fragmentation, SDF) の重要性が報告された (J Hum Reprod Sci 2019)。以前よりSDFの原因として生活習慣による影響が指摘されている一方で、精子調整過程の密度勾配遠心処理とその後の凍結保存がSDFの直接的な要因と注目されており、SDFを予防することは胚質不良を改善する上で極めて重要な課題である。 SDFは一般的にカスパーゼ活性化、アポトーシス、活性酸素種、酸化ストレスによって惹起されるが、凍結傷害によるSDFは活性酸素種と酸化ストレスが重要である (Hum Reprod 2009)。近年、精子凍結によるSDFは抗酸化化合物の添加によって全精子の30%程度にまで改善されることが報告されたが (Andologia 2019)、体外授精成績とSDF率の関連性を解析した報告ではSDF率は16%以下が望ましいとされ、さらなる改善法の開発が求められている。 本研究では耐凍剤として使用予定であった化合物Aに、抗酸化化合物として使用予定であった化合物を添加した際に化合物が溶解しない問題が発生したため、耐凍剤をカルボキシル化ポリリジンに変更し検討を開始した。精子DNA不断片化率を指標に、各保存液で凍結し、融解した精子の断片化率が最も低下したのは抗酸化化合物レスベラトロールであることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
変更した耐凍剤である化合物Bの添加により、有意にSDF率が低下することが確認された。加えて、抗酸化化合物のレスベラトロールの添加により、更に有意にSDF率が低下することが確認された。精子DNA不断片化率が低下した作用機序の解析のため、酸化ストレス マーカーや、ミトコンドリアのROS、脂質膜の過酸化、ミトコンドリアの膜電位を解析したところ、ミトコンドリアの膜電位以外が有意に低下していた。これらの成果については、論文として報告した。
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今後の研究の推進方策 |
開発したヒト精子凍結保存液が、SDF率を有意に低減することが確認されたため、臨床での応用が可能か確認する。具体的には、臨床の生殖補助医療において、既存の凍結試薬と開発した凍結試薬で凍結保存した精子を融解し、体外受精で使用することで胚へ影響を与えるかを確認する。
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