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CD39に着目した膀胱癌の腫瘍免疫微小環境の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K16823
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分56030:泌尿器科学関連
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

村上 哲史  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (40813655)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
キーワード膀胱癌 / CD39 / 腫瘍内不均一性 / 腫瘍免疫微小環境
研究開始時の研究の概要

筋層非浸潤膀胱癌に対しては免疫療法であるBCG膀胱内注入療法が行われており、最近では転移性膀胱癌に対して免疫チェックポイント阻害薬が臨床応用されている。本研究は、細胞膜酵素であるCD39-アデノシン代謝を介した泌尿器がん免疫抑制機構に着目し、膀胱癌CD39の腫瘍内不均一性および発現の意義と腫瘍免疫微小環境との関係を探索し、免疫反応を有する同種移植のマウス膀胱腫瘍モデルを用いて、BCG/抗PD-1抗体療法下のCD39機能解析を行い、当施設で独自の網羅的遺伝子解析システムを用いて膀胱癌CD39発現に関与する遺伝子異常を安価な次世代シークエンスで同定することを目的とする。

研究実績の概要

筋層非浸潤膀胱癌に対しては古くから免疫療法であるBCG膀胱内注入療法が行われており、最近では転移性膀胱癌に対して免疫チェックポイント阻害薬が臨床応用された。このように膀胱癌と癌免疫は密接に関係するが、筋層非浸潤膀胱癌においてはBCG治療への抵抗性が喫緊の課題であり、転移性膀胱癌に対する免疫チェックポイント阻害薬も奏効率は20%程度に留まる。応募者は、細胞膜酵素であるCD39-アデノシン代謝を介した泌尿器がん免疫抑制機構の研究を進めている。本研究は、①包括的な腫瘍免疫微小環境におけるCD39不均一性を7重蛍光染色法で空間的に可視化し、シングルセルカウントできる最新の解析プラットフォーム「Vectra Polaris」を導入することで明らかにする、②マウス膀胱癌細胞株(MBT-2・MBT-2 variant)を用いたマウス膀胱腫瘍正所性モデル及び肺転移モデルを作製し、癌細胞や宿主由来の免疫細胞の免疫応答を観察し、CD39発現がBCG療法や抗PD-1/PD-L1治療の効果に関連しているかどうかを検討する、③CD39依存性の膀胱癌サブクラス分類に対して次世代シークエンスを用いた遺伝子解析「PleSSision-Rapid・PleSSision-Exome」を適用することで、CD39発現や関連する腫瘍免疫微小環境に対するサロゲートマーカーの確立を行うことを目的とする。CD39は次世代免疫チェックポイント阻害剤のターゲット分子として期待されており、研究成果は膀胱癌の枠組みを超えた癌免疫への波及効果が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

CD73はCD39と共にATP・ADP・AMPを加水分解してアデノシンを産生する膜型酵素であり、細胞外アデノシンを増加させることで免疫応答を抑制するはたらきを持つ。そこで膀胱癌における癌免疫微小環境を理解するにあたりCD73の分子的役割についても調べる必要があると考え、CD73発現と腫瘍免疫浸潤の関わりについてまず明らかにすることとした。膀胱腫瘍内細胞におけるCD73陽性率は、筋層浸潤性膀胱癌と筋層非浸潤性膀胱癌の間に有意差を認めなかったが、T細胞(CD8+CTL・Foxp3+Treg細胞)に着目したCD73発現解析では、筋層浸潤性膀胱癌でCD73陽性率は著しく増加していた。生存解析ではCD73high vs CD73lowの比較で全生存期間(OS)に差を認めなかったが、多重染色法による生存解析では、CD8highCD73high腫瘍群がその他の群と比較して、OSが有意に短いことが明らかになった。さらに、Foxp3highCD73high腫瘍群もその他の群と比較してOSが有意に短かった。細胞間距離の解析では、腫瘍空間のCD73+ CTLとCD73+Treg細胞は、それぞれCD73- CTLとCD73-Treg細胞と比較して、同一組織内のPD-L1+細胞から離れた場所に存在しており、CTL・Treg細胞の空間分布に対するCD73発現の影響が示唆された。上記をふまえ、筋層非浸潤性膀胱癌~転移性・切除不応膀胱癌症例ヒト膀胱癌組織マイクロアレイを用いて7重蛍光染色法によるシングルセルカウントを行い、免疫細胞、癌細胞、間質細胞に発現するCD39を1細胞レベルで区別し腫瘍内不均一性を解析中である。特に免疫細胞においてはCD8陽性CD39陽性T細胞がtumor-specific T-cellとされており、免疫細胞に発現するCD39の解析に時間がかかっている。

今後の研究の推進方策

シングルセル解析を完了後にはマウス膀胱癌細胞株(MBT-2・MBT-2 variant)を用いたマウス膀胱腫瘍正所性モデル及び肺転移モデルを作製し、癌細胞や宿主由来の免疫細胞の免疫応答を観察し、CD39発現がBCG療法や抗PD-1/PD-L1治療の効果に関連しているかどうかを検討する。そして、7重蛍光染色を組み合わせた腫瘍免疫学的分類(tumor immune-classification)により明らかとなるCD39依存性の膀胱癌サブクラス分類に対して、次世代シークエンスを用いた遺伝子解析「PleSSision-Rapid・PleSSision-Exome」を適用することで、CD39発現や関連する腫瘍免疫微小環境に対するサロゲートマーカーの確立を行う。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Single-Cell Phenotyping of CD73 Expression Reveals the Diversity of the Tumor Immune Microenvironment and Reflects the Prognosis of Bladder Cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Izawa Mizuki、Tanaka Nobuyuki、Murakami Tetsushi、Anno Tadatsugu、Teranishi Yu、Takamatsu Kimiharu、Mikami Shuji、Kakimi Kazuhiro、Imamura Takeshi、Matsumoto Kazuhiro、Oya Mototsugu
    • 雑誌名

      Laboratory Investigation

      巻: 103 号: 4 ページ: 100040-100040

    • DOI

      10.1016/j.labinv.2022.100040

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 査読あり

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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