研究課題/領域番号 |
22K16833
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
高山 恵理奈 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90589847)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | lipopolysaccharide(LPS) / 流産モデルマウス / Th1/Th2バランス説 / Phosphodiesterase 5阻害薬 / lipopolysaccharide (LPS) / 反復流産・不育症 / ヘルパーT細胞 / PDE阻害薬 / tadalafil / LPS |
研究開始時の研究の概要 |
生殖補助医療において受精卵を着床させるために卵胞黄体ホルモン補充療法が実施されてきた。その際に反復着床不全や不育症が認められ、原因不明の子宮内膜機能異常とされる病態には有効な治療法がなく、これを解決するための新規アプローチが待たれていた。妊娠を成立させ維持するには、子宮内環境で胎児を異物として拒絶せずに寛容する免疫系の役割が重要とされている。Th1 > Th2では流産しやすいことが報告されており、本研究ではPDE5阻害薬のtadalafilを投与すればTh1 < Th2に誘導できる可能性に気付いた。これが証明できれば、反復着床不全と不育症の治療にPDE5阻害薬を臨床に応用できる可能性がある。
|
研究実績の概要 |
生殖補助医療では体外受精技術が飛躍的に進歩した一方で、体外受精させて子宮内に胚移植した後の着床不全と不育症に対する治療法に改善が乏しい。そこで本研究ではTh1/Th2バランス説に基づいた流産モデルマウスを用いた動物実験を実施する。 昨年度、流産モデルマウスの作成を行い、8~10週齢のC57BL6雌マウスを雄マウスと交配し、翌朝膣栓を確認し妊娠0日目と定義した。妊娠10日目に体重に基づきControl群(C群)、リポ多糖(LPS)群(L群)、及びLPS+Phosphodiesterase 5阻害薬(LT群)に分け、LT群にPhosphodiesterase 5阻害薬溶液の自由飲水を開始した。妊娠11日目にL群とLT群にLPSを、C群には生理食塩水を腹腔内投与し、一部のマウスは腹腔内投与2時間後に採血と胎盤の採取を行った。残りのマウスは妊娠14日目に犠牲剖検を行い、流産の程度、胎盤重量、胎児重量の計測を実施した。妊娠14日目の胎盤は4%PFAで固定後パラフィン包埋を行った。その後HE染色を行い、障害の程度をnecrosisスコアにより評価した。妊娠11日目に採取した血漿中のTNFα濃度IL-1βの計測はELISA法によって実施した。 流産率はC群に比べてL群とLT群で有意に高く、L群と比べてLT群では有意に低かった。胎児重量もC群よりL群とLT群で有意に低く、L群と比較してLT群では有意に高かった。necrosisスコアはC群と比較してL群とLT群で有意に高く、L群に対してLT群で有意に低かった。血漿TNFα濃度はL群と比較してLT群は有意に低かった。血漿IL-1βはC群に比べてL群とLT群で有意に高く、L群と比べてLT群では有意に低かった。 Phosphodiesterase 5阻害薬流産率が有意に低下し、胎児重量の減少も抑えられることが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今までの結果により、Phosphodiesterase 5阻害薬処理によって流産率が有意に低下し、胎児重量の減少も抑えられることが確認された。これはnecrosisスコアおよび炎症性サイトカインの結果からTadが胎盤の炎症反応および胎盤の傷害を抑制することによるものと考えられる。これらの結果は、Phosphodiesterase 5阻害薬が免疫機構の異常による流産のリスクを軽減する可能性があることを示唆している。目標としていた事項は確認できたため、順調に進行していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
妊娠11日目に採取した血漿中のTNFα濃度IL-1βの計測はELISA法によって実施し、今後解析を行う予定である。
|