研究課題/領域番号 |
22K16834
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
今福 仁美 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60726131)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 癒着胎盤 |
研究開始時の研究の概要 |
癒着胎盤は出産時に胎盤が剥がれず、しばしば大量出血となり、母体が生命の危険にさらされることもまれではありません。近年世界中で増加傾向を認めています。しかし、癒着胎盤となっているかどうかを分娩前に診断する確実な方法は未だありません。胎盤は特殊な組織であり、動物実験で癒着胎盤を作り出すことが極めて難しいため、発生機序や予測に関する研究があまり行われていません。そこで、癒着胎盤に特異的なmiRNAを見つけ、癒着胎盤がどのように発生するのかを解明し、出産前に分子診断を取り入れた癒着胎盤の診断する評価方法の確立をめざします。また癒着胎盤の予防薬開発の糸口を発見することも目標としています。
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研究実績の概要 |
癒着胎盤は、分娩時に胎盤が剥離せず、産後大量出血の原因となり、時に母体の生命も脅かすものであるが、現時点では画像診断を含め、分娩前に癒着胎盤を確実に診断、予知する方法はない。そこで本研究では、いまだ解明されていない癒着胎盤発症過程の解明と、臨床現場において分子診断を取り入れた分娩前癒着胎盤評価法の確立を目的とした研究をすすめている。 分子診断確立に向け、まず妊娠第3三半期(妊娠28週以降)の母体血から採取して保存した血清を用い、分娩後に癒着胎盤と診断された症例の血清と、癒着胎盤を認めずかつ合併症のない正常妊娠分娩経過症例の血清、それぞれからリアルタイムPCRによりmiRNAを抽出精製する。また正常胎盤と癒着胎盤の胎盤絨毛組織をRNA laterですぐに安定化処理を行い、リアルタイムPCRによりmiRNAを抽出精製する。これらの血清および胎盤から同定したmiRNAをmiRNA arrayにより癒着胎盤の有無で発現に差を認めるmiRNAを検出し、癒着胎盤特異的miRNAを同定することを計画し、研究をすすめている。 また癒着胎盤は、癒着胎盤や胎盤遺残の既往、帝王切開や子宮内膜掻把術、子宮動脈塞栓術といった子宮手術の既往、生殖補助医療(体外受精)、特にホルモン補充周期による胚移植などがリスク因子として知られている。超音波検査では、ラクナと呼ばれる胎盤内の無エコー領域所見、胎盤と子宮壁との境界消失像が癒着胎盤を示唆する所見とされている。そこで、妊娠28~32週にこれら癒着胎盤を疑う既往歴や生殖補助医療の有無、経腹超音波で胎盤付着部位を確認し、癒着胎盤を疑う超音波所見の有無、またこれらから癒着胎盤が疑われる症例ではMRIも撮像し、癒着を疑うMRI所見の有無、を評価し、分娩時の癒着胎盤診断有無を調査する前向き研究もすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始から現在まで、癒着胎盤の症例が3例のみであったため、分娩後に癒着胎盤と診断された症例の血清、癒着胎盤の胎盤絨毛組織からのmiRNAを抽出精製がすすんでいない。 既往歴や生殖補助医療、癒着胎盤を疑う超音波所見の有無の調査は2022年10月より開始し、現在まで約100例に行っているが、癒着胎盤の症例は2例であり、こちらも癒着胎盤症例の蓄積に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
癒着胎盤の症例を積み重ね、癒着胎盤の有無で発現に差を認めるmiRNAを検出し、癒着胎盤特異的miRNAを同定し、既往歴や生殖補助医療、癒着胎盤を疑う超音波所見の有無も加味してスコアリング化を行い、分娩前に癒着胎盤を同定するシステムを構築していきたい。 また、絨毛癌細胞(JAR)と絨毛外栄養膜細胞株(HTR-8/SVneo)をそれぞれ絨毛細胞モデルとして、上記で同定した癒着胎盤特異的miRNAを細胞内導入したJAR、HTR-8/SVneo、およびcontrolとして遺伝子非導入JAR、HTR-8/Svneoの形態学的変化を位相差顕微鏡解析で、また増殖能や細胞生存への影響を細胞数計測やMTT assayにより検討することで癒着胎盤成立のメカニズムを解明していくことも計画している。
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