研究課題/領域番号 |
22K16863
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
小古山 学 自治医科大学, 医学部, 助教 (60741692)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 妊娠高血圧腎症 / ノンコーディングRNA / エクソソーム / 発症予知 / 発症予防 |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠初期の母体血清中のnon-coding RNA(ncRNA)を測定し、それらが早産期発症の妊娠高血圧腎症(preterm PE)の発症予知モデルの精度向上に寄与するか検証を行う。具体的には、1)絶対定量可能なdigital PCR(dPCR)法によるncRNAの測定系を確立する、2)正常妊婦のncRNA発現量から正常域を決定する、3)決定した閾値をもとにpreterm PE発症妊婦のncRNA発現量から発症予知の感度、特異度を求める。本研究によりpreterm PEの発症予知精度が高まれば、母体合併症だけでなく児の合併症、後遺症も大きく減ると期待される。
|
研究実績の概要 |
妊娠初期の母体血清中のnon-coding RNA(ncRNA)やエクソソームを測定し、それらが早産期発症妊娠高血圧腎症(preterm PE)の発症予知モデルの精度向上に寄与するか検証を行う。 ncRNAに関しては、従来からのreal-time PCR法だけでなく、絶対定量可能なdigital PCR(dPCR)法による測定系を確立する。正常妊婦のncRNA発現量から正常域を決定し、決定した閾値をもとにpreterm PE発症妊婦のncRNA発現量から発症予知の感度、特異度を求める。これまで我々が検証してきた胎盤形成に関与するncRNA (miR-675-5p, miR-520-3p)以外に、妊娠初期の胎盤及び母体末梢血で高発現しているncRNA(preterm PE予知候補ncRNA)のレビューをまとめ、報告した(Ogoyama M. Cells. 2022)。これにより、miR-675-5p、miR-520-3p、lncRNA H19他、複数の候補ncRNAを立てることが出来た。一方で、初期妊婦末梢血におけるRNAの回収については量および純度が不十分で測定系の確立に工夫を要する。 エクソソームに関しては、妊娠初期、中期、末期、PE発症妊婦の母体血中から超遠心法(分画遠心法)で回収(CD9陽性)し、その量について比較解析を行った。母体血中エクソソーム量は妊娠初期から末期でその量に有意な差は認めなかったが、PE妊婦で有意に増加していることを確認した。今後は、エクソソーム内に含有されているncRNA等をシークエンス解析し、絨毛細胞や血管細胞に及ぼす影響について機能解析を行いたい。また、倫理審査を経て回収した初期妊婦の血液において、将来preterm PEを発症する妊婦と発症しない妊婦を比較し、エクソソーム量が発症予知に用いれるかをさらに検体数を増やし検証したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
母体血清中からのncRNAの回収は純度、量ともに不十分で回収法に工夫を要している段階である。エクソソームについてはこれからシークエンス解析を行う予定で、その結果をもとに機能解析の対象となるncRNAやpathwayなどについて検討予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
母体血中RNAの安定した回収を目指す。回収時の試薬の追加(リニアアクリルアミドなど)や低濃度核酸サンプルからのRNAの定量に優れるQuantus Fluorometerの使用なども検討する。母体血中RNAの回収が難しければ、それと並行して胎盤サンプルからのRNAによりdigital PCR系で胎盤特異的ncRNAの発現を評価できるかも検証する。Digital PCR法とreal time PCR法における精度比較も行いたい。 エクソソームについてはこれからシークエンス解析を行う予定で、その結果をもとに機能解析の対象となるncRNAやpathwayなどについて検討予定である。
|