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グラニュライシンは原因不明不育症のマーカーとなりうるか?流産防止法確立に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 22K16867
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分56040:産婦人科学関連
研究機関日本医科大学

研究代表者

市川 智子  日本医科大学, 医学部, 助教 (10366726)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード流産 / グラニュライシン / ヘパリン / 免疫 / 不育症 / 炎症 / 原因不明不育症
研究開始時の研究の概要

不育症は流産や死産を2回以上繰り返す疾患で、原因の約半数が原因不明であります。免疫細胞から分泌されるグラニュライシンは細胞死を誘導したり、炎症を引き起こすタンパク質です。本研究では、原因不明の不育症患者さんでグラニュライシンを測定し、グラニュライシンが原因不明不育症患者さんに特徴的なマーカーとなり得るのか。また、その背景を証明するために、基礎的な研究ではマウス用いて、グラニュライシンが流産過程においてどのように流産誘導に関与するのかを研究していきます。この研究により原因不明で治療ができなかった原因不明不育症患者さんが適切な治療を受け、出産できる可能性があります。

研究実績の概要

<グラニュライシンと流産との関連性>
①グラニュライシンが流産を誘導するかどうか確認するために、C57BL/6妊娠マウスにリコンビナントグラニュライシンを投与したが、流産を誘導することができなかった。元来、グラニュライシンは齧歯類には存在しないため、本当にグラニュライシンが流産を誘導しないかどうかはC57BL/6妊娠マウスでは示すことができない。よってグラニュライシンが導入されたトランスジェニックマウスの作成を国立遺伝研究所と共同研究を行い、作成に成功した。<ヘパリンの抗炎症作用による流産防止メカニズムの解析>①ヘパリンはリポポリサッカライド(LPS)マウス流産を防止する:C57BL/6(メス) x C57BL/6(オス)の同種同型組み合わせ妊娠において、LPSを腹腔内投与するとマウス流産が誘導されるが、未分画ヘパリンの皮下投与により流産が有意に防止できることを見出した。この際PT、APTTの凝固時間には影響を及ぼさないことも確認した。すなわち、凝固系に影響を及ぼさないレベルのヘパリン量により、有意に流産防止効果を発揮することを見出した。②未分画ヘパリン投与は、胎盤内の炎症性環境を抑制する:上記のヘパリン投与において、フローサイトメーター(FCM)を用いて子宮局所の免疫細胞解析を行なったところ、抗炎症作用を有するM2型マクロファージ分画の増加および炎症性サイトカインおよびパーフォリン、グランザイムなどの細胞障害性因子の産生抑制を認めた。さらにELISA法によりマウス血清中のサイトカインを測定したところ、同じくヘパリン投与により炎症性サイトカイン濃度の低下を認めた。また、脱落膜 mRNAのT-betはヘパリンで有意に低下した。以上より、ヘパリン投与は全身、局所の過剰炎症を抑制することが示唆されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

国立遺伝研究所との共同研究でグラニュライシントランスジェニックマウスを作成することができた。
この過程に約1年かかったが、その間、グラニュライシントランスジェニックを使って行う予定であるヘパリンの研究をワイルドタイプのマウスで行う事ができたので、今後の実験の準備が行うことができた。
また、ヘパリンでの研究も抗凝固ではなく抗炎症作用にて流産を防止することが示され、この結果も2024年度の日本不育症学会、日本生殖免疫学会でシンポジウムで発表予定である。

今後の研究の推進方策

①グラニュライシンが流産を誘導するかどうか(granulysin transgenic type):グラニュライシンが遺伝子導入されたトランスジェニックマウスを妊娠させ、LPSを投与し、妊娠帰結をWTと比較する。
②流産マウスでの局所、末梢における免疫細胞の変化:①で流産に至った妊娠マウスの脱落膜、子宮筋層の免疫細胞の変化をWTと比較検討する。抗原提示細胞である樹状細胞 (dendritic cell: DC)、マクロファージやNK細胞、NKT細胞、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞などの細胞数やサブタイプ (DC1やDC2など)や活性化マーカーを解析する。また、各種サイトカイン (IL-2, IL-4, IFN-γ) やグラニュライシンをはじめとする細胞顆粒内タンパク質 (グラニュライシン、Granzyme A, B, Perforin) も同様に解析する。具体的にはFACS法、PCR法を用いて評価する。②ヘパリンはグラニュライシン誘導性流産を回避できるか:グラニュライシンで誘導された流産をヘパリンにて回避できるかを調べるために、ヘパリンをグラニュライシンと同時期に投与し、流産率を比較検討する。③ヘパリンで流産が回避されたマウスの局所、末梢における免疫細胞の変化:検討項目は②と同様とする。④9kdaグラニュライシンになりやすい環境(PHの低下)を作り出し、妊娠帰結を確認する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Upregulated serum granulysin levels in women with antiphospholipid antibody‐associated recurrent miscarriage are downregulated by heparin treatment2022

    • 著者名/発表者名
      Ichikawa Tomoko、Negishi Yasuyuki、Kasano Sayuri、Yokote Ryoko、Yonezawa Mirei、Ouchi Nozomi、Kuwabara Yoshimitsu、Suzuki Shunji、Takeshita Toshiyuki
    • 雑誌名

      Reproductive Medicine and Biology

      巻: 21 号: 1 ページ: 1-9

    • DOI

      10.1002/rmb2.12460

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ヘパリンの抗炎症作用に着目したマウス流産防止効果の検討2024

    • 著者名/発表者名
      市川智子
    • 学会等名
      日本不育症学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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