研究課題/領域番号 |
22K16869
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
梶原 一紘 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期・母性診療センター, 医員 (40569521)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | BeWo細胞 / 胎盤 / レチノイン酸 / ferroptosis / Ferroptosis / 絨毛細胞 / Retinoic acid / リモデリング不全 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はレチノイン酸を投与したラットが妊娠高血圧腎症と類似の病態を形成し胎児発育不全をきたすことを明らかにした。この過程に近年発見された新 たな細胞死であるferroptosisが関与していると考えている。本研究では胎盤形成にferroptosisが与える影響を明らかにすることで、胎盤らせん動脈リモデリング不全を検証する新たな動物モデルを構築していく。in vitro(ヒト細胞モデル)とin vivo(動物モ デル)を相補的に活用することで、ferroptosisと胎盤機能不全の分子機序解析から臨床動態 への検証を可能とする。
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研究実績の概要 |
我々は絨毛細胞株であるBeWo細胞を用いて実験を行った。BeWo細胞はRSL3によってferroptosisを容易に起こすことを確認した。さらにBeWo細胞をレチノイン酸で前処理するとferrotpsis抵抗性を獲得した。レチノイン酸で前処理したBeWo細胞では抗酸化酵素であるHO-1が高発現していた。そのためBeWo細胞においてHO-1をノックダウンさせたところferroptosis感受性が亢進した。さらにこのHO-1ノックダウン細胞をレチノイン酸で前処理するとferroptosis抵抗性を再獲得できたことから、絨毛細胞においてレチノイン酸がferroptosisの抵抗性獲得に重要な役割を果たしていることを発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は当初の計画通りレチノイン酸とferroptosis感受性に関する知見を明らかにした。このことはferroptosisと関連があるとされている妊娠高血圧腎症の発症予防や新規治療法開発に関わる重要な発見である。特にHO-1の関与を発見したことで具体的なターゲットが定まった。またレチノイン酸受容体Bを介することも明らかにしていることから今後はより具体的な治療計画を立てていくことが可能となった。これらの知見はすでに英文雑誌に投稿しており現在reviewerの査読を修正しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
我々は絨毛細胞株であるBeWo細胞をレチノイン酸で前処理するとHO-1の発現が増加することでferroptosis抵抗性が得られることを明らかにした。またレチノイン酸は受容体Bを介していたこともわかっている。そのため我々はferroptosisとの関連が示唆されている妊娠高血圧腎症をターゲットとして、in vitroにおいて絨毛細胞のHO-1の発現に影響を与える既存薬の効果を検討すること、また動物モデルにおいてレチノイン酸受容体Bの発現に影響を与える化合物を投与することで胎盤の発育への影響を検討する予定である。
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