研究課題/領域番号 |
22K16888
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
諸星 和紀 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(ポスト・ドクター) (40910427)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 補体 / 精子選抜 / 子宮内殺精子因子 / 生殖免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
精子にとって非自己の体内である雌生殖器は過酷な環境である。実際に、雄から射出された大量の精子の中で卵に辿り着くことができるのはわずかであり、子宮・卵管には『精子を選抜するメカニズム』が存在する。しかし、雌生殖器内における具体的な分子や詳細なメカニズムは現在までに報告例がない。現在までに雌マウスの子宮内液に含まれる補体成分が殺精子作用を持つことを明らかにしている。しかし、その補体成分がどのように活性化し、精子を死亡させるかは明らかになっていない。 本研究では、自然免疫の要である補体成分が排除すべき精子をピンポイントで攻撃することで精子を選抜していると仮定し、新規の精子選抜メカニズムの提唱を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では子宮に存在する子宮内液が受精に適した精子を選抜するメカニズムの解明を目的としている。子宮内液には補体の中核因子である補体C3が多量に含まれることを明らかにしており、この補体C3をノックアウトしたマウスの子宮内液では殺精子作用が抑制されることも明らかになっている。これらのことから、精子選抜メカニズムにおいて補体C3が重要であることは明白であるが、その活性化機序は明らかになっていない。今年度は、「子宮内液中の補体C3解析」「C3による精子選抜は子宮独自のシステムであるか」に関する知見を得た。 子宮内液中の補体C3を解析する目的で、子宮内液を含む培地中で精子を培養した後、培養液と精子タンパク中のC3形態をウェスタンブロットにより確認した。その結果、培養液中の補体C3は活性化しておらず、精子表面に結合した補体C3のみ活性化にされていることが明らかとなった。 C3による精子選抜が子宮独自のシステムかを確認する目的で、マウス血清を含む培地中で精子を培養した後、培養液と精子タンパク中のC3形態をウェスタンブロットにより確認したところ、子宮内液と同様に精子表面に結合した補体C3のみ活性化されていることが明らかとなった。 これらの結果から、殺精子作用に関わる補体C3の活性化は精子表面で起こることや、この活性化は子宮独自のシステムではなく、従来の補体経路と同様であることを示唆することができたが、更なる解析を重ね慎重に判断していく必要があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、子宮内液を含む培地中で培養した精子の膜表面に補体C3が結合し、精子膜表面で補体C3が活性化することを明らかにした。加えて、培養時間10分、30分、1時間、2時間、3時間のC3形態を確認したところ、培養後10分で補体C3の活性化が確認され、3時間では活性化した補体C3が分解されていることを確認した。また驚くべきことに、精子と補体C3のみを培養したところ、子宮内液と培養したときと同様に精子膜表面に補体C3が結合し、精子膜表面で補体C3の活性化が起こることが確認された。このことから、精子膜表面において補体C3を活性化させる何らかの因子が働いている可能性が考えられるが、その活性化因子の同定には至っていない。 精子と培養した際の子宮内液と血清の補体C3形態を比較したところ、両者に違いは見られなかった。このことから殺精子作用に関わる補体C3の活性化は子宮独自のシステムではなく、従来の補体経路と同様である可能性が考えられる。 研究当初の予想とは反する結果が出ているものの、本研究の目的である精子選抜メカニズムの解明に繋がる知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
研究開始当初は殺精子作用に関わる補体C3の活性化は子宮独自の活性化経路を想定していたが、血清を含む培地中で培養した精子表面でも同様に補体C3が活性化されたことから、従来の活性化経路によるものである可能性が示唆された。このことから、今後は従来の補体活性化経路との関連についても追加で調査する予定である。 また補体C3の活性化が精子由来の因子によっても制御される可能性が示唆されているため、今後得られた結果に応じて実験計画を変更する等、柔軟に対応していく。
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