研究課題/領域番号 |
22K16896
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
植木 雄志 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10727564)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 頭頸部癌 / PLOD2 / サイクリン依存性キナーゼ / インターロイキン6 / 浸潤・転移 |
研究開始時の研究の概要 |
再発・転移頭頸部癌に対する治療は未だ成績不良である。 われわれは先行研究において、新規頭頸部癌浸潤・転移制御因子である水酸化酵素PLOD2を同定した。PLOD2の発現は炎症性サイトカインIL-6および転写因子STAT3による転写誘導を介して惹起される一方、汎サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤により顕著に抑制される。これらの知見からは、新規頭頸部癌治療標的としてのPLOD2の重要性が示唆され、CDK阻害によるPLOD2抑制が新規治療として期待できる。本研究ではCDK阻害に着目したPLOD2発現抑制による、まったく新しい頭頸部癌治療の構築を目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、以下の①~③の研究を計画している。令和4年度は、①と③について研究を進めた。 ①PLOD2発現に特異的に作用するサイクリン依存性キナーゼの同定と分子メカニズムの解明(令和4~5年度) ②in vivo舌癌モデルマウス/肺転移モデルマウスにおける、特異的CDK阻害によるPLOD2発現抑制がもたらす浸潤・転移抑制効果の検証(令和5~6年度) ③ヒト組織検体におけるPLOD2関連分子発現解析によるPLOD2抑制治療の最適化(令和4~6年度) ①については、すでに樹立済であるPLOD2野生型(wt)/ノックアウト(KO)ヒト口腔扁平上皮癌培養細胞株を用いて、IL-6/STAT3/PLOD2シグナル関連分子(IL-6, IL-6受容体、リン酸化(活性化)STAT3、各種CDKなど)の発現比較をRT-PCR、イムノブロットで行った。その結果、wtとKOで明らかに発現量が異なる分子が複数見出された。これらの分子はIL-6/STAT3/PLOD2シグナル経路の活性化に大きく関与している可能性が高いと考えられる。以後の実験を、これらの分子の動態に焦点を当てて行う予定としている。③については、上記①の研究結果を踏まえて、重要と考えられる分子の抗体など試薬を購入し、免疫染色を開始した。まず、数例のヒト頭頸部癌組織検体を用いて、抗体の染色条件などの設定を行っている。いくつかの分子では、条件設定に難渋しており、複数回の試行が必要となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①については、PCR・ウェスタンブロットでPLOD2 wt/KOで発現量に有意差を持つ分子が複数特定できたため、予定通りの進捗であると考えている。 ③については、①の実験結果をもって試薬の準備を始めたこと、免疫染色の条件設定にやや難渋していることから、研究の進捗はやや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、①についてはヒト口腔扁平上皮癌培養細胞を用いて、発現変動の見られた分子のsiRNAによるノックダウン実験を行って増殖能・浸潤能の評価を行い、増殖・浸潤能に影響を及ぼす分子=癌の進展に大きな関与を持つ分子をさらに絞り込み、動物実験へ進めていく。 それと並行して、③でもヒト組織・血液での解析を進め、基礎・臨床の両方からPLOD2を軸とした頭頸部癌の進展メカニズムの解明を進めていく予定である。
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