研究課題/領域番号 |
22K16899
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松永 麻美 京都大学, 医学研究科, 助教 (00599524)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 単一細胞トランスクリプトーム解析 / 支持細胞 / 有毛細胞再生 / エンドセリン受容体B2 / エンドセリン受容体B |
研究開始時の研究の概要 |
エンドセリン受容体は、高血圧、がん、心疾患の創薬の標的 として、また腸管の発生過程では分化誘導因子として知られているが、蝸牛での機能は不明である。哺乳類蝸牛有毛細胞は一旦喪失すると再生せず、有効な治療薬がないため難聴は永続的となる。一方、鳥類蝸牛では有毛細胞が再生し難聴も改善する。鳥類蝸牛有毛細胞再生過程の単一細胞トランスクリプトーム解析(遺伝子発現解析)を行なった結果、再生過程の細胞にエンドセリン受容体Bが特異的に発現していることがわかった。本研究では、当該分子の機能並びに哺乳類蝸牛での役割と両者の差異を明確にし、ヒト難聴克服に向けた新規治療薬開発に貢献することが最終目標である。
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研究実績の概要 |
哺乳類の難聴は、有毛細胞が喪失後に再生しないため、永続的となる。鳥類は支持細胞を起源として、有毛細胞が再生し、難聴が改善する。支持細胞から有毛細胞への再生機構の解明と哺乳類への応用を目的に、我々が作製した器官培養系での鳥類蝸牛有毛細胞再生モデル(Matsunaga et al., 2020) を用いて、各分化段階のサンプルを採取し、単一細胞トランスクリプトーム解析を行った。得られたRNA情報に基づきクラスター解析を行い、分化過程にある細胞群の中から、支持細胞集団を同定・抽出し、支持細胞集団のみに対して再度クラスター解析を行った。結果、ある特定の支持細胞集団にのみ高発現する特異的な分子として、エンドセリン受容体B2(EDNRB2)が抽出された。さらに、ISHと擬似時系列解析を行ったところ、EDNRB2は再生初期の支持細胞に一過性に発現上昇していることが解った。擬似時系列解析結果に基づき、擬似時間軸上での発現パターンをクラスター解析すると、EDNRB2を含むクラスターには、細胞の脱分化マーカー遺伝子が複数含まれており、擬似時間軸上の発現のタイミングも合わせて、EDNRB2も鳥類蝸牛有毛細胞再生過程において、支持細胞の脱分化に関与している分子である可能性が考えられた。次に、EDNRB2を制御している機構を探索すべく、擬似時間軸上でEDNRB2より以前に発現上昇する分子に着目したところ、TGFbシグナルの下流分子が多数検出されたことより、TGFbシグナルのEDNRB2と再生有毛細胞への影響を確認するため、TGFbシグナル阻害実験を行った。結果、TGFbシグナルを阻害すると、EDNRB2の発現は低下し、再生有毛細胞数も有意に減少することがわかった。以上から、EDNRB2は、TGFbシグナルの制御をうけて支持細胞の脱分化を誘導する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鳥類蝸牛有毛細胞再生過程のサンプルに対し、単一細胞トランスクリプトーム解析を行い、鳥類蝸牛有毛細胞再生過程における新規分子としてEDNRB2を検出した。さらに、擬似時系列解析に基づき、EDNRB2の機能として、脱分化マーカー分子である可能性が考えられた。研究計画に挙げていた、上流解析として、ATAC-Seqのサンプルをすでに提出しており、現在解析結果待ちである。
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今後の研究の推進方策 |
EDNRB2が脱分化マーカー候補であることを検証する目的で、発生過程におけるEDNRB2の発現をISHにて確認予定である。また、マウス蝸牛定常状態および傷害下でのEDNRB2の発現を確認予定である。 マウス蝸牛での発現解析結果に基づき ①支持細胞レポーターマウスを用いて、EDNRBの発現増強あるいは発現抑制を行い、有毛細胞再生への影響を調べる。有毛細胞傷害時でも同様に検討し再生誘導が観察されるかを検証する。② アデノ随伴ウィルスベクターによるEDNRB2の強制発現を行い、再生有毛細胞が観察されるかを検証する。
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