研究課題/領域番号 |
22K16903
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
金城 伸祐 岩手医科大学, 医学部, 助教 (30849245)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 語音 / 母音 / 聴性誘発反応 / 聴性誘発電位 / P2 / 聴覚脳幹誘発電位 |
研究開始時の研究の概要 |
人の声、“語音”の持つ“言葉らしさ”の認識に関する中枢処理のメカニズムは十分に解明されていない。当研究では“言葉らしさ”を弁別する脳の領域を解明することが目的だ。これを解明することはhidden hearing lossや聴覚情報処理障害などの聴覚障害患者の病態の解明および治療に繋がると考えられる。また、人工内耳装用者での言葉の聞き取りの特徴が解明できれば語音に焦点をあてた調整の確立にも繋がる。
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研究実績の概要 |
昨年度、第84回耳鼻咽喉科臨床学会総会・学術講演会で”感冒を契機にAuditory neuropathy spectrum disorderをきたした一例”の発表をした。この症例は中耳・内耳の機能は保たれているもののそれ以降である蝸牛神経のシナプスから中枢側での難聴をきたしている症例であり、内耳細胞の活性をみる耳音響放射での反応はあったものの、神経伝達を計測する聴性脳幹反応では105dBでも反応は出なかった。しかし純音聴力検査では70dB程度で反応があり、これと一致して聴性定常反応はみられた。また語音弁別検査は補聴器を装用しても30%程度である。この現象は聴性脳幹反応では数ミリ秒しか寛容性が狭いために神経伝達の速度・タイミングが少しでもばらつくと計測が出来なくなってしまうと考える。一方で調整定常反応では当院では90Hzでのものを使っているために約11ミリ秒程度の寛容性の広さがあると考えられ、それゆえに純音聴力検査に一致した結果が得られたと考えられる。 追加の遺伝子検査でCAPOS症候群と診断された。日本で4例目と希少な疾患である本疾患はATP1c3遺伝子の障害であり、蝸牛神経のsynaptopathyであった。これは熱発によるシナプスの変性で神経伝達に障害を及ぼすものである。諸文献では神経伝達の同時性が損なわれることが聴力障害の原因の一端とされる。本年はAuris Nasus Larynxに”Childhood fever and hearing loss associated with CAPOS syndrome”として投稿、Acceptされている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウイルス蔓延下で、岩手医科大学の検査室で脳波測定は感染リスクがあり施行することが困難であった。現在も散発的に県内発祥がみられ、検査室の使用時間・運用方法は検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
若年・高齢の難聴者で先に測定したnatural speechとsynthesized soundを提示した際の脳波の測定の施行。これが若年の健聴者のN1-P2の時間差と比べてどのよ うな変化が見られるかを検討する。また、人工内耳植え込み術施行後の語音弁別が良好である被験者でのデータを測定することを考えている。ただし人工内耳に よる脳波のアーティファクトが入り込む可能性があるために脳波の測定方法はアーティファクトの影響を極力受けないような配置での電極、もしくは他の方法を 選択せざるを得なくなる可能性がある。その場合は同様の条件で若年健聴者でのデータもさらに測定する必要がある。
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