研究課題/領域番号 |
22K16912
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上原 奈津美 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40570502)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ミトコンドリア / 難聴 / 内耳 / NDUFA1 / マイトファジー |
研究開始時の研究の概要 |
「難聴」はミトコンドリア病において最も頻度の高い症状であるが、その根本的な治療法 は存在しない。ミトコンドリア病における難聴では主にまず内耳蝸牛が障害されるが、生検により標本を得 られる臓器ではないため、生体内での詳細な病態把握は困難である。 本研究計画では、内耳感覚細胞株を用いて、ミトコンドリア病モデル内耳感覚細胞を作成 し、内耳蝸牛におけるミトコンドリアの機能および動態を評価する。そして同疾患モデル細 胞を用いてミトコンドリアを標的とした薬剤の効果およびその作用機序について明らかにす ることで、ミトコンドリア難聴の病態解明と新たな治療法開発を目指す。
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研究実績の概要 |
「難聴」はミトコンドリア病において最も頻度の高い症状であるが、その根本的な治療法は存在しない。マウス由来内耳感覚細胞株を用いて、ミトコンドリア病モデル内耳感覚細胞を作成し、内耳蝸牛におけるミトコンドリアの機能および動態評価を進めてきた。マウス内耳由来感覚細胞株(HEI-OC1)を用いて、NDUFA1遺伝子に対するsiRNAを用いてNDUFA1遺伝子をノックダウンし内耳感覚細胞ミトコンドリア病モデルを作成した。 正常のHEI-OC1細胞ではH2O2負荷で膜電位が濃度依存的に低下していた。2.5mM H2O2負荷では、正常細胞では膜電位の低下は見られなかったが内耳感覚細胞ミトコンドリア病モデルでは膜電位の低下を認めた。またH202負荷で酸素消費量が変化するかどうか検討したところ、H2O2 1.8mMでは正常細胞と内耳感覚細胞ミトコンドリア病モデルでは明らかな差は見られなかった。引き続きH2O2の濃度を増やすことによって変化があるか検討中である。 酸化ストレスやDNA損傷等により不良化したミトコンドリアはマイトファジーによって選択的に除去される。Mitophagy detection kitを用いて染色し、蛍光顕微鏡を用いてマイトファジーの検出を行った。2.5mM H2O2負荷では、正常細胞ではほとんどマイトファジーが検出されなかったのに対し内耳感覚細胞ミトコンドリア病モデルではミトコンドリア膜電位の低下とマイトファジーの誘導が確認された。 これらの結果から、本研究で作成した内耳感覚細胞ミトコンドリア病モデルは正常細胞に比べて酸化ストレスにより不良化しやすくマイトファジーで除去され正常に機能しない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
世界情勢から、一部試薬が届かず実験が遅れた。 また、ミトコンドリアの酸素消費量についても検討しているが条件設定で難渋し 時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
酸化ストレスによるミトコンドリア機能の低下が確認されたので 複数の抗酸化剤やミトコンドリア内の複合体Iの活性を上げるような ビタミン剤などで機能が回復するか確認する。 また内耳細胞だけでなく、他の組織由来の細胞でも 同様に検討する予定である。
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