研究課題/領域番号 |
22K16931
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安井 徹郎 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60803468)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 聴力再生 / 再生医療 / 神経再生 / 微小環境制御 / ミクログリア |
研究開始時の研究の概要 |
ラセン神経節ニューロン(SGN)は、音刺激を蝸牛有毛細胞から中枢聴覚野へと伝達する一次聴覚ニューロンであり、ウイルス感染や遺伝性、薬剤性、音響外傷などの病的状態のみならず、老化でも傷害され難聴に至るが、これを再生・補充することで聴力を回復させるような、根本的難聴治療法は確立されていない。 申請者らは先行の報告から成体マウスのラセン神経節神経幹/前駆細胞(SG-NPC)は多分化能と増殖能を維持しているものの、そのほとんどは静止状態であると考えており、本研究ではSG-NPCの静止状態からの活性化機構の解明を目的とすることで、先行研究よりも安全性・コストにおいて臨床的に妥当な治療法の創造を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、神経幹細胞を制御する周囲微小環境の構成因子であるミクログリアに着目し、蝸牛ラセン神経節内在性神経幹細胞の活性化機構の解明と、薬剤性内 耳障害を必要としない新生ニューロンによる神経回路機能の再獲得により、安全性に優れた聴力改善治療の創造を目指している。 成体マウス螺旋神経節での神経細胞・神経幹細胞の周囲微小環境としてはシュワン細胞・ミクログリアが知られており、まず我々はミクログリアの活性化を確認 するため、
本年の研究実績では、マウスに神経障害性薬剤(ウアバイン)を投与する実験系を用いて、野生型マウス(B6)とミク ログリアの活性化を制御するToll様受容体(TLR)9遺伝子欠損マウス(TLR9KO)での比較を、成体への薬剤性難聴と並行して加齢性難聴条件で比較したところ、加齢性難聴の実験では、B6(WT)よりもTLR9KOのほうが聴力閾値上昇が強かったことから、TLR経路を回したマクロファージの活性化は不要となった死細胞の刈り込みを含めて恒常性を保つ役割があることが示唆された。
前年までの成体WTマウス・TLR9マウスへの薬剤性難聴の結果と、これらの研究実績から、蝸牛ラセン神経節神経細胞の細胞死および蝸牛ラセン神経節内在性神経幹細胞の活性化および、恒常性の維持において活性化ミクログリアが重要なキーファクターであること を示唆しており、蝸牛ラセン神経節内在性神経幹細胞の静止状態からの活性化機構への解明および、先行研究よりも安全性・コストにお いて臨床的に妥当な治療法の創造という目標についての理解を深めている段階であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
野生型マウスおよびレポーターマウスとしてのICR/B6の種の違いから、B6系でのウアバイン投与による神経障害の再現性はまだ安定性が不十分な部分があり、客観性および再現性の担保のため、今後は投与方法の見直しを含めて検討する方針です。
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今後の研究の推進方策 |
加齢性難聴の実験では、B6(WT)よりもTLR9KOのほうが閾値上昇が強いことから、TLR経路を回したマクロファージの活性化は不要となった死細胞の刈り込みを含めて恒常性を保つ役割の可能性から、今後はマクロファージの活性経路のさらなる詳細な評価として、細胞質内において二本鎖DNAを認識してI型インターフェロンを介した防御応答を誘導するcGAS-STING経路にも着目し、レポーターマウスとしてSTING KO mouseでの実験にも拡大する方針としています。
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