研究課題/領域番号 |
22K16950
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 静 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (00747925)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 内皮細胞 / 網膜器官培養 / ライブイメージング / 血管新生 / 網膜 / 器官培養 |
研究開始時の研究の概要 |
網膜血管閉塞疾患では、虚血により網膜から硝子体に逸脱して伸長する病的新生血管が誘導される。一方、マウス網膜の虚血によって誘導される病的新生血管は自然に退縮し、虚血領域に再び血管が伸長していく。申請者はマウス網膜標本の観察から、「病的血管の内皮細胞は、網膜内に遊走して正常血管を再構築する機能を有するのではないか」という仮説に至った。これを実証するため疾患環境を考慮した実験システムを開発する。本研究は、マウス網膜器官培養法を新たに開発し、ライブイメージング解析系を構築 する。可視化した内皮細胞の動態を追跡し、病的新生血管を構成する内皮細胞が虚血領域の血管再構築に寄与することを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究では、マウス網膜の器官培養法を新たに開発し、発生期もしくは病的血管新生でみられる細胞動態を評価するため観察系の構築を目指す。本年度は、器官培養法の開発を試みた。予備研究で課題であった網膜の変形は、type1コラーゲンに網膜を埋め込むことで形状保持を可能とした。網膜血管の発生を再現できる網膜器官培養に適した培地ならびにサプリメントを検討した。生後4日の新生仔マウス網膜を種々の培地・サプリメントを用いて40%酸素濃度下に24時間培養した後、ホールマウント免疫染色により培養網膜の血管形態ならびに内皮数を生後5日マウス網膜のそれと比較した。神経系細胞に適したB27・N2サプリメントを添加した培地では血管伸長、血管径、血管分岐数のいずれも減少し、内皮細胞は数だけでなく配向にも凝集様の変化がみられた。一方、血管内皮細胞に適したVEGFとFGFを添加した培地では、血管伸長、血管径、分岐数は神経系の培地よりも有意に増加したが生後5日マウスと同等にはならなかった。このとき、抗a-SMA、抗NG2抗体による免疫染色においてペリサイトによる内皮細胞の被覆が障害されていたことから、さらにPDGF-BBを添加して培養したところ、生後5日マウス網膜の血管形態と同等となった。 VEGF, FGF, PDGF-BBの3つのサイトカインと化合物を添加した培地を用いることで生体に類似した発生期の血管新生をex vivoで誘導することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、網膜血管新生の観察に適した器官培養法の開発を進めた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は確立した網膜器官培養法を用いて観察系を構築する。 1)内皮細胞の同定:内皮細胞の細胞質に特異的にGFPを過剰発現するマウス網膜において、 生細胞核をReadyProbe 試薬を用いてDAPIもしくはCy5フィルターで検出可能な可視外の波長で蛍光標識する。細胞の重なりによって内皮細胞の特定が難しい場合には、Cre/loxPシステムを利用した組織特異的に細胞核を標識可能なレポーターマウス (R26R-H2B-EGFPマウス)を理研バイオリソースセンターから入手したのち、内皮細胞特異的にCreリコンビナーゼを発 現するマウスと交配して内皮細胞核にGFPを発現するマウス網膜を作成する。 2)培養網膜の観察法および評価系の確立:ライトシート顕微鏡を用いて1時間から数時間間 隔で数日間のタイムラプス撮影で培養網膜を観察する。平坦化した網膜は二光子顕微鏡を用 いて観察する。得られた画像を用いて個々の内皮細胞核をImageJプラグインのMTrackJで手動追跡し、細胞増殖と運動を解析する。
|