研究課題/領域番号 |
22K16966
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
後沢 誠 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (80897158)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 強膜内陥術 / 構造解析 / 輪状締結術 / 網膜剥離 / シミュレーション / 流体解析 / 硝子体手術 |
研究開始時の研究の概要 |
難治性網膜疾患に伴う裂孔原性網膜剥離において、手術治療を成功させるためには、術式選択や周術期管理を適切に行う必要がある。しかし、症例によって網膜剥離の範囲、硝子体腔の形状、増殖の程度は様々であり、複数回の手術を要したにも関わらず失明に至ることがある。そこで本研究では、眼内タンポナーデ物質の挙動、網膜の変位や変形、網膜タンポナーデ効果、網膜壁に対する圧力やせん断応力などが、術式によってどのように変化するかを、症例ごとに解析・比較するシミュレーション手法の確立を目的としている。
|
研究実績の概要 |
網膜剥離に対して施行される輪状締結術は眼球のbiometric parametersを大きく変化させ、術後視機能に影響を与えることが報告されている。しかしparametersがどの程度変化するのか個々の症例においてシミュレーションすることは困難であり、多数の臨床症例を集めて術前後のデータを比較検討するか、もしくはモデル眼球を用いて構造解析を行なう手法が一般的であった。しかし眼球形状は個々の症例で異なるため、上記の臨床データやモデル眼球を用いたデータと実臨床のデータが乖離することもしばしば経験される。そこで我々は患者MRI(Magnetic Resonance Imaging)画像から3D眼球を再構築し、構造解析ソフトを用いて患者個人の眼球形状を考慮した輪状締結術のシミュレーションを行った。その結果、輪状締結術による眼球形状変化は、バックリング材の形状や設置部位、さらに元々の眼球形状によって異なることが明らかとなり、構造解析によってその違いを定量的に評価できることを発見した。今回の我々の研究成果は、個々の症例において、症例ごとに異なる眼球形状を用いて術後のbiometric parameterの変化を予測できる可能性を示唆している点において非常に有意義であり、その成果を第62回日本網膜硝子体学会総会、第7回北陸young retina seminarで発表した。また、構造解析によって作成した輪状締結モデルを用いて流体解析を行い、輪状締結による眼球形状変化は、眼球運動や頭部運動によって発生する眼内流体の挙動を大きく変化させ、輪状締結術が今まで知られていなかった治療効果を持つ可能性があることも解明しつつある。さらに、患者の3D形状データを用いて構造解析を行う手法は網膜疾患以外の眼科分野においても応用可能であることが判明し、眼科他領域においても構造解析を応用した研究を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究当初は、輪状締結術による眼球形状変化についての研究結果を令和5年度内に論文にまとめて投稿予定であったが、研究途中で解析手法の部分的な変更が必要であったこと、また他領域への研究手法応用の検討に時間を要したことなどから、当初の研究計画よりはやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、構造解析による輪状締結術のシミュレーションについての研究結果の論文化を目指す。また、構造解析によって得られた3D輪状締結モデルを用いて流体解析を行い、輪状締結術による眼球形状変化が眼内流体挙動に与える影響についてさらなる解析を進める。
|