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NAD+/PARP1経路に着目したRP制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K16972
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分56060:眼科学関連
研究機関山口大学

研究代表者

芦森 温茂  山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60870459)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワードPARP1 / RP / 網膜変性 / NAD / 老化 / RARP1
研究開始時の研究の概要

RP(網膜色素変性症)の主たる原因は遺伝要因とされ、ビタミンAの内服などによる薬理的治療が行われているものの、有効性は一部の患者に限定される。RPの原因が十分に理解できておらず、適切な治療薬が選定できていないことが原因として挙げられる。本研究は、最近神経細胞変性との関係性が示唆されてきているPoly (ADP-ribose) polymerase-1(PARP1)に注目し、PARP1がどのような機序で視細胞の変性に寄与するか明らかにすることで、RP進行制御の分子機構の一端を解明し、RP進行におけるPARP1活性制御の有用性を検証し、PARP1を標的とした新たなRP治療薬の探索を目指す。

研究実績の概要

PARP1活性制御による網膜色素変性症の制御機構の解明を目標としていた本研究では、関連する論文に関して、筆頭著者として1報、Disease Models & Mechanismsに受理され(Volume 17, Issue 4 April 2024)、共著として3報の論文が受理されている。国内学会での発表を4件行い、国際学会での発表を1件行っている。他大学とのシンポジウムや招待セミナーなどを行い、研究内容の公表や発展性の向上を行った。なお本研究成果に関する論文発表や学会発表は他にも予定している。
本研究では、特に培養細胞における研究に関して進展があり、細胞死及び神経変性における病態へのPARP1またはNAD+の関係性を明らかにすることができた。また、これらのメカニズムについてもいくつかのパスウェイが関与する可能性を見出すことができた。本研究における成果は、網膜変性の進行における分子機構の理解を深め、その病態制御をこれまでとは異なった視点からアプローチできる可能性を提示するものとなる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、PARP1活性制御による網膜色素変性症の制御機構の解明を目標とした。
RP進行におけるPARP1の関与及び分子機構を詳細に理解するために、PARP1によるPoly ADP ribosylation(PAR)の標的となる因子をLC-MS/MSなどによる同定を行った。PAR化は多重修飾され分子量が大きく異なってくる。その関係でタンパク質同定はやや難航したものの、661w細胞におけるPARP1の標的因子を12個同定することができた。一方で、同定された因子の中でRPや神経変性への関与が報告されている因子は同定されず、かつ、いずれも生体内で多量に発現していると考えられるタンパク質が検出された。したがって、現在までにRP進行に関与するPARP1経路を分子的に明らかにするには至っていない。一方で、2022年 Fuらにより新規のPAR化タンパク質検出手法が報告されており、これら技術を用いることで、今回同定に至らなかった分子ひいては分子経路を明らかにできる可能性があると考えられる。

今後の研究の推進方策

RPの原因遺伝子及び機序、またはRP進行を遅らせる治療薬の研究などは広く行われてきた一方で、RPとPARP1活性制御を結びつける本研究は新規性が高い。PAR化タンパク質の同定では、RP制御に関与する直接的な因子を発見するには至らなかったものの、近年報告されている手法を用いることにより、ブレイクスルーとなる潜在性がある。また、本研究で予想外に得られたPARP1の活性制御機構は、RP制御の枠を超えPARP1の新たな制御機構および分子機序を明らかにできる可能性がある。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] HIF-1α-dependent upregulation of angiogenic factors by mechanical stimulation in retinal pigment epithelial cells2024

    • 著者名/発表者名
      Ashimori Atsushige、Higashijima Fumiaki、Ogata Tadahiko、Sakuma Ayano、Hamada Waka、Sunada Junki、Aoki Ren、Mikuni Masanori、Hayashi Kenichiro、Wakuta Makiko、Yoshimoto Takuya、Minamoto Akira、Ko Ji-Ae、Kimura Kazuhiro
    • 雑誌名

      Disease Models & Mechanisms

      巻: 17 号: 4

    • DOI

      10.1242/dmm.050640

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Significance of the p38MAPK-CRP2 axis in myofibroblastic phenotypic transition2023

    • 著者名/発表者名
      Hayashi Kenichiro、Labios Reuben Jacob、Morita Tsuyoshi、Ashimori Atsushige、Aoki Ren、Mikuni Masanori、Kimura Kazuhiro
    • 雑誌名

      Cell Structure and Function

      巻: 48 号: 2 ページ: 199-210

    • DOI

      10.1247/csf.23060

    • ISSN
      0386-7196, 1347-3700
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] P2Y2受容体の日内変動はリガンドであるUTPの薬効日内変動をもたらす2023

    • 著者名/発表者名
      芦森 温茂,林 謙一郎,緒方 惟彦,東島 史明,佐久間 彩乃,濱田 和花,砂田 潤希,青木 連,三國 雅倫,木村 和博
    • 学会等名
      第25回眼創傷治癒研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 網膜下線維化に対するbenzoylphenyl ureaの抑制機能2023

    • 著者名/発表者名
      佐久間 彩乃,林 謙一郎,濱田 和花,長谷川 実茄,東島 史明,吉本 拓矢,芦森 温茂,湧田 真紀子,森 湖太郎,中川 好秋,木村 和博
    • 学会等名
      第127回日本眼科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 光誘因性の網膜変性モデルにおけるHSF1を介した神経保護への関連遺伝子の検討2022

    • 著者名/発表者名
      東島 史明,佐久間 彩乃,長谷川 実茄,濱田 和花,吉本 拓矢,緒方 惟彦,芦森 温茂,波多野 誠,木村 和博
    • 学会等名
      第126回日本眼科学会総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] BACによるHTFの形態変化に対するHCEの影響2022

    • 著者名/発表者名
      佐久間 彩乃,山城 知恵美,徳田 和央,長谷川 実茄,濱田 和花,東島 史明,吉本 拓矢,小林 由佳,芦森 温茂,寺西 慎一郎,湧田 真紀子,林 謙一郎,木村 和博
    • 学会等名
      第24回眼創傷治癒研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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