研究課題/領域番号 |
22K16985
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
西島 義道 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 研究員 (80909391)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 緑内障 / 神経保護 / 視神経再生 / TrkB / AAV / 遺伝子治療 / 神経軸索再生 |
研究開始時の研究の概要 |
緑内障は、網膜神経節細胞が徐々に細胞死を引き起こす進行性の神経変性疾患である。神経細胞死によって低下した視機能の回復は不可能であるため、神経細胞を保護することが重要な課題である。代表者らは、常時活性型の神経栄養因子受容体を独自に開発しており、細胞保護に関与する細胞内シグナルの継続的な増強に成功した。この分子を用いた遺伝子治療では、正常眼圧緑内障モデルマウスにおける神経保護効果を見出している。そこで本研究では、複数の緑内障モデルマウスを用いた治療効果について、視機能検査および病理学的解析の両面から検討する。
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研究成果の概要 |
本研究は、BDNFの受容体であるTrkBを改変し常時活性型としたFarnesylated intracellular TrkB(F-iTrkB)を作製し、その遺伝子治療により、視神経損傷による失明からの回復を目指した。 F-iTrkBを、AAV2ベクターを用いてマウスの網膜に導入したところ、RGCの保護と軸索再生が促進された。視神経の再生軸索は視交叉まで到達したが、視覚中枢への到達は不十分であった。一方、上丘直前で切断したモデルの場合、再生軸索は上丘に到達した。これらの結果から、失明マウスの視機能が部分的に回復する可能性が示された。これらの成果はMolecular Therapy誌に掲載された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、これまで治療が難しいとされてきた視神経の損傷による失明に対し、遺伝子治療という新たなアプローチで挑戦したものである。独自に開発した常時活性型TrkB分子を用いることで、損傷を受けた網膜神経細胞の保護と再生を促進することに成功した。視神経損傷マウスを用いた解析では、視神経が切断されて失明状態に陥った個体の視機能が部分的に回復することが確認され、将来的に人への応用が期待される画期的な成果と言える。今後のさらなる改良により、多くの失明患者の Quality of Life (QOL) の向上と社会復帰の実現につながることが期待される。
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