研究課題/領域番号 |
22K16997
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
今福 匡司 和歌山県立医科大学, 先端医学研究所, 助教 (10908809)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 1細胞遺伝子発現解析 / 線維化 / 細胞間相互作用 / ケロイド / 1細胞遺伝子解析 |
研究開始時の研究の概要 |
皮膚の線維増殖性病変であるケロイドの発生機序及び線維化進展機構は、未だ詳細に解明されていない。最近、組織微小環境の変動が病態の発生や進展に影響することが報告されており、ケロイドにおいても、その病変形成に組織中での線維芽細胞や血管内皮細胞、免疫細胞などの相互作用が重要であると推定されるが、これらの組織微小環境がどのように変化するかは明らかになっていない。本研究では、ケロイド患者の皮膚組織を用いて包括的1細胞遺伝子解析を施行し、同患者由来正常皮膚組織または1細胞解析データバンクなどを利用して線維化進展を担う細胞及び遺伝子候補を同定することを目的し、病態機構の解明と創薬ターゲットの発見を目指す。
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研究成果の概要 |
皮膚の線維増殖性病変であるケロイドの発生機序及び線維化進展機構は、未だ解明されていない。組織微小環境における多様な細胞間相互作用はケロイドの病態形成に関連すると推定される。本研究では、ケロイド切除手術患者を対象に単一核RNAシークエンス解析を施行し、組織中の細胞不均一性及び細胞間相互作用を解析した。その結果、ケロイド病変部には線維芽細胞、ケラチノサイト及びマスト細胞が非ケロイド部と比較して多く存在した。また、ケロイド部に特徴的な線維芽細胞サブタイプはケラチノサイトやマスト細胞との相互作用頻度が多いことを算出し、ケラチノサイトやマスト細胞と線維芽細胞の連関が病態進展に関連する可能性を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ケロイドは自然退行することが稀であり、周囲の正常皮膚へと線維化症状が拡大する線維増殖性病変である。痛みや痒みが長期間継続し、重度の場合は感染を繰り返すこともあるが、その根治治療法はまだない。本研究では、これまで報告のない単一核による1細胞遺伝子発現解析を用いて、ケロイド治療薬のターゲットになりうる細胞間相互作用を解明し、新たな基礎的知見を得ることができた。さらに、本研究成果は肺線維症や肝硬変など他臓器における線維化機構の理解へと波及効果が期待される。
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