研究課題/領域番号 |
22K17005
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小柳 江梨子 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (20791700)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 味蕾 / 味覚障害 / 細胞分化 / 味覚 |
研究開始時の研究の概要 |
美味しいという感覚は私たちが食の喜びを感じるだけでなく、栄養を摂るために欠かせない。食べ物の味の情報は味蕾で受容され、味神経を介して脳に伝えられる。味蕾は多様な細胞が蕾状に集まって構成されるが、味蕾を構成する細胞は、短い周期で常に置き換わっている。この細胞の置き換わりの異常は味覚障害の主な原因の一つとされている。 本研究は、細胞が置き換わっても味蕾が正常に機能するメカニズムを解明し、味覚障害の原因解明や治療法・予防法開発につなげることを目的とする。特に、「味蕾に供給される最初の細胞 (前駆細胞) の分化状態」と「個々の味蕾への味蕾前駆細胞の供給量と味蕾の大きさの相関関係」を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
味蕾を構成する細胞は、味孔まで伸長する成熟細胞(I, II, III型細胞)とその前駆細胞で未分化な細胞(IV型細胞)に分類される。味蕾細胞は、上皮由来で皮膚の細胞のように、短い周期で置き換わる。味蕾細胞が置き換わりながらも、私たちがいつも同じように味を感じられるのは、細胞の置き換わりで失われた細胞と同じ機能を持つ細胞が幹細胞から味蕾に供給されるからであると考えられてきた。これまでに、1)味蕾幹細胞は味蕾周囲にあること、2)幹細胞が分裂し、最終分裂を終えた細胞が味蕾に供給され、味蕾基底部でSonic Hedgehog(Shh: 細胞増殖・分化誘導因子)を発現するIV型細胞になること、3)Shh(+)細胞が I, II, III 型細胞に分化し成熟細胞となることが示されている。しかし、各味蕾に未分化な細胞であるShh(+)細胞がいくつ含まれ、成熟細胞との比率はどのようになっているのか、味蕾の成熟分化がいつ、どのように開始し、I, II, III 型細胞となるのか、その詳細は不明であった。 そこで、1)口腔上皮のホールマウント免疫染色を行い、各味蕾のShh(+)細胞の数と分布の解析、2)ホールマウント免疫染色で細胞型分化を制御する転写因子の検出を行なった。研究開始当初は、免疫染色の検出感度が低く、固定や抗原賦活化の条件検討に時間を要した。しかし、多くの検討を経て検出感度を上げることに成功し、現在は再現性がある解析が可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
口腔上皮のホールマウント免疫染色を行い、各味蕾のShh(+)細胞の数と分布、2)ホールマウント免疫染色で細胞型分化を制御する転写因子の検出を行なった。研究開始当初は、免疫染色の検出感度が低く、条件の検討に時間を要した。しかし、多くの検討を経て検出感度を上げることに成功し、現在は再現性がある解析が可能となった。 また、産休育休に伴う研究の一時中断が生じた。延長申請を行い、次年度も引き続き本研究を行うことにした。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、確立したホールマウント免疫染色法を用いて、各味蕾のShh(+)細胞の数と分布、細胞型分化を制御する転写因子の検出を行い、味蕾細胞の置き換わりの詳細を明らかにし、論文にまとめる。
|