研究課題/領域番号 |
22K17015
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
河内 貴弘 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第三部, 外来研究員 (80911932)
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研究期間 (年度) |
2024-01-17 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / 歯科 / 疼痛 / ストレス / 三叉神経ニューロパチー / 顔面疼痛 |
研究開始時の研究の概要 |
近年では予防医学の発展により、疾患高リスク患者に対する予防的介入が発症・重症化のリスクを減少させている。発症後の治療が困難な難治性疼痛においても発症リスク因子をし、予防的介入を行うことで発症・重症化を防げれば新規治療戦略になりうる。うつ・不安および歯科治療誘発性難治性疼痛モデル動物を用いた行動薬理学・神経組織学・化学遺伝学的検討により,うつ・不安が歯科難治性疼痛を誘導しやすい機序の解明,発症高リスク病態における予防標的および予防薬の探索を目的としている。
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研究実績の概要 |
難治性疼痛は一度発症すると治療抵抗性を示す疼痛で、患者生活の質低下および医療費増大 を招く。近年では予防医学の発展により、疾患高リスク患者に対する予防的介入が発症・重症化のリスクを減少させている。発症後の治療が困難な難治性疼痛においても発症リスク因子を探索し、予防的介入を行うことで発症・重症化を防げれば新規治療戦略になりうる。本研究では①歯科治療誘発性の難治性疼痛はうつ・不安患者に多く発症すること②うつ・不安と難治性疼痛は多数の共通した病態を生じること、に着目した。うつ・不安および歯科治療誘発性難治性疼痛モデル動物を用いた行動薬理学・神経組織学・化学遺伝学的検討によりうつ・不安が歯科難治性疼痛を誘導しやすい機序の解明発症高リスク病態における予防標的および予防薬の探索を目的としている。 2022年度では、慢性拘束ストレスに暴露したマウスが不安様行動を示すことを明暗箱試験で明らかにした。また三叉神経の末梢端である眼窩下神経を損傷することで、顔面疼痛様行動が生じることもvon Frey試験で確認した。さらに慢性拘束ストレス後に眼窩下神経を損傷することにより、ストレスを受けていないマウスと比較し強い疼痛様行動を示すことを明らかにした。以上の結果は『受傷前のストレスが疼痛を悪化させる』という臨床報告を模倣している。この現象について深く調べることで、従来のアプローチとは異なる方法で慢性疼痛の発症機序およびその予防法・治療法を明らかにできるかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画はうつ・不安状態によるPTTN発症リスクの上昇を基礎研究から示すことであった。申請者はストレスによる精神疾患様行動を明暗箱試験で評価し、うつ・不安状態と考えられるモデルマウスを作成した。また眼窩下神経を損傷することで歯科慢性疼痛を模倣したモデルマウスを作成し、その顔面疼痛様行動を評価する行動試験を確立できた。以上を組み合わせて、この実験の根幹をなす『受傷前のストレスが疼痛を悪化させる』ことが行動試験で明らかになっており、一年目の研究計画は実施されている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は歯科慢性疼痛高リスク群の病態を明らかにするため、以下の項目にてストレス群・非ストレス群間を比較検討する。①免染法にて扁桃体・前頭前野などの脳部位における神経活動の増減を検討する。②損傷神経である眼窩下神経・三叉神経節・神経活動に変化が生じた脳部位における免疫細胞の活性化を免染法にて検討する。また免疫細胞が放出する各種サイトカインを定量化する。主なサイトカインとしてTNFα、IL6,IL1β、CXCL1/2を検討する。③タンパク定量・免染法で血中・脳脊髄液・脳内のアラーミン量の増減を検討する。主なアラーミンとしてHMGB1、IL-1α、IL-33、S100タンパク質を検討する。
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