研究課題
若手研究
これまでの研究で、腫瘍実質と間質が相互作用「腫瘍実質-間質連関」しながら腫瘍形成を促進することを明らかにしており、その一つにTRPV4シグナルの異常活性化が挙げられるが、詳細な分子基盤は不明である。本研究では、口腔扁平上皮癌における、TRPV4シグナルの活性化メカニズム(発現制御機構と活性化ドメイン)を解明し、機能抑制メカニズムを明らかにすることで、TRPV4を標的とした抗腫瘍効果について解析を行う。
本研究では、口腔扁平上皮癌(OSCC)において、TRPV4シグナルが細胞外環境(間質)により異常活性化するメカニズム(発現制御機構と活性化ドメイン)の解明とその機能抑制を目的としている。令和5年度には以下の研究結果を得た。①構築したYAPシグナルを活性化する実験系を用いて、TRPV4発現制御機構に関する検討を行った。②OSCC病理標本(非腫瘍部、上皮性異形成/上皮内癌、浸潤癌を含む)における遺伝子発現について、DNAマイクロアレイ法を用いて網羅的に検討した。その結果、非腫瘍部、上皮性異形成/上皮内癌、浸潤癌において段階的に発現が上昇する遺伝子を73個、非腫瘍部、上皮性異形成/上皮内癌において発現が上昇する遺伝子を295個、非腫瘍部、上皮性異形成/上皮内癌、浸潤癌において段階的に発現が減少する遺伝子を100個、非腫瘍部、上皮性異形成/上皮内癌において発現が減少する遺伝子を476個単離した。また、それぞれの遺伝子を用いてGene Ontology解析を行なった。加えて、これらのgenesetからMdigDB Hallmark解析、およびENCODE TF ChIP-seq解析を行い、OSCCの発癌過程において特異的に活性化しているシグナル伝達、および特異的に機能していると考えられる転写因子を同定した。これらのシグナル伝達、および転写因子に制御される標的因子を同定するとともに、TRPV4との関係性を示唆する結果を一部得た。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)
Pathol Res Pract.
巻: 246 ページ: 154493-154493
10.1016/j.prp.2023.154493
巻: 236 ページ: 153991-153991
10.1016/j.prp.2022.153991