研究課題/領域番号 |
22K17019
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
伊達 悠貴 熊本大学, 発生医学研究所, 特別研究員(PD) (70914240)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | p53 / Myc / TGFβ / 骨肉腫 |
研究開始時の研究の概要 |
p53破綻とMyc過剰発現は、発がん性の代表的なゲノム・エピゲノム異常である。私たちは、p53破綻性の骨肉腫モデルマウスを用いて、Runx転写因子がMycの発現を過剰に誘導することを明らかにしてきた。しかし、p53破綻下の微小環境において、どの液性因子がどういう機序でMycを過剰に誘導するのか、その詳細はわかっていなかった。 本研究では、骨肉腫発症を助長する液性因子として、炎症関連サイトカインTGFβに着目し、骨肉腫発症におけるTGFβの発がん促進機序を明らかにする。
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研究成果の概要 |
がん抑制遺伝子p53の遺伝子変異とがん遺伝子Mycの過剰発現は、多くのヒトがんの発症・悪性化に関わるゲノム・エピゲノム異常である。これまで私たちは、両異常を特徴とする骨肉腫の発症機序が、p53破綻に伴うMycの過剰誘導であることを解明してきた。本研究では、p53破綻下の腫瘍微小環境において、TGFβシグナルが亢進し、Myc過剰発現を誘導する分子機序を明らかにした。すなわち、骨肉腫細胞において、TGFβシグナルの下流で活性化された転写因子群のRunx/Smad複合体が、TGFβ反応性のMycエンハンサー「m340」を介して、Mycを過剰に誘導していた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、p53破綻下において、腫瘍微小環境由来のサイトカインであるTGFβが発がんを誘導する分子機序が明らかになった。TGFβは、発がん初期ではがん抑制的に働く一方で、発がん後期ではがん促進的に働くことが知られるが、その詳細な機序は分かっていなかった。この二層性の機序として、TGFβはp53が破綻した悪性腫瘍においては炎症促進因子に転化することが示された。また、同因子がMycエンハンサーを介して直接Mycを誘導し、発がんを引き起こすことがわかった。p53 破綻とTGFβシグナルの連動による発がん機序は、予後評価から治療に至るまで、がん種をこえた抗がん戦略となる可能性がある。
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