研究課題/領域番号 |
22K17021
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
宇佐美 いづみ (眞島いづみ / 眞島 いづみ) 奥羽大学, 歯学部, 講師 (60770782)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 口腔Veillonella / 口腔バイオフィルム初期形成抑制 / フルクトース / 乳酸 / エネルギー代謝経路 / ガスクロマトグラフィー定性定量解析 / Veillonella属細菌新菌種 / 編集候補株スクリーニング / メタボローム解析 / 終末代謝産物解析 / 口腔バイオフィルム / Veillonella属細菌 / 乳酸代謝 / フルクトース代謝 / ゲノム編集 |
研究開始時の研究の概要 |
国民病であるう蝕(虫歯)と歯周病の直接的原因は口腔バイオフィルムによる細菌の感染である。 本研究は、口腔バイオフィルム初期形成期における細菌間の代謝ネットワークを制御し、その形成を抑制することで、現在も罹患率の上昇が続くこれら疾患の次世代的な予防及び治療法を確立することを目的とする。 具体的には、口腔バイオフィルム初期形成の中心的役割を担い、生理学的依存・共存関係にあるStreptococcus(ストレプトコッカス)属及びVeillonella(ベイオネラ)属細菌間の代謝活性を、Veillonella属細菌のエネルギー代謝経路をゲノム編集によって遺伝学的に制御することで実現する。
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研究実績の概要 |
2022年度に引き続き、口腔バイオフィルム初期形成抑制のためのゲノム編集Veillonella株開発に向け、口腔Veillonellaのエネルギー代謝マップ完成のための準備を進めた。また最適な編集候補株選定のため、ヒト口腔由来Veillonella属細菌未同定株の系統分類を下記の要領で遂行した。 ① GC(ガスクロマトグラフィー)を使用した定性定量解析のための諸条件の検討 口腔Veillonellaのフルクトース代謝経路を中心としたエネルギー代謝マップ完成に向けて、各培養条件、及び増殖段階のフルクトース消費量の測定をGCによる定性定量解析で進めるにあたり、GCの解析条件、及びフルクトースの適切な誘導体化の条件と方法を確立した。 ② ヒト口腔由来Veillonella属細菌未同定株の系統分類 口腔Veillonella全8菌種及び既報菌種には属さない未同定10株の新菌種候補株としてのスクリーニングをhousekeeping遺伝子4種(16S rRNA, dnaK, rpoB, gltA)の塩基配列解析と系統樹解析により行った。その結果、これら未同定株はdnaK遺伝子で最も類似性が低く、既報菌種と差別化を図ることが出来た。また未同定10株のうち、7株がVeillonella属新菌種である可能性が示唆された。またこれら新菌種候補株のうち、S12025-13株に関しては、MLST解析、全ゲノム解析、生化学性状検査等の追加解析を行い、近日中に新菌種として提唱予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年6月から2024年3月まで産前産後休暇および育児休暇を取得したため、研究計画からやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に実施できなかった部分の研究計画を2024年度に実施する。具体的には、各培養条件および増殖段階のフルクトース消費量をGCによる定性定量解析により測定し、口腔Veillonellaのフルクトース消費量が最大になる培養条件を確定する。また酵素アッセイによりGC解析の結果をフォローアップする。さらに2022年度に行った終末代謝産物解析および各培養条件における乳酸消費量のHPLCによる定性定量解析の結果から、口腔Veillonellaの乳酸およびフルクトース代謝は、対数増殖期よりも定常期に活発になる傾向が示唆された。本結果から、各培養条件における定常期のメタボローム解析を行い、定常期における口腔Veillonellaのエネルギー代謝マップの重要なデータとして追加する。また本メタボローム解析結果を受け、必要に応じてプロテオーム解析を行う。これらの結果を統合し、フルクトースを栄養源とした際の全エネルギー代謝マップを完成させる。 2025年度以降は、確定した培養条件を適用し、完成したエネルギー代謝マップを基に、フルクトースを単栄養源として増殖する乳酸代謝機能抑制Veillonellaのゲノム編集株の作製、開発を進める。また実際に作製した編集株と口腔バイオフィルム形成開始菌であるStreptococcus属細菌とのバイオフィルム形成能を確認し、口腔バイオフィルムに依存する感染症予防に応用する方策を確立する。
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